QAの革新なくしては、世界水準のソフトウェアはつくれないInterview(3/3 ページ)

» 2005年01月14日 16時55分 公開
[ITmedia]
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開発とQAの関係を変えていく「テスタビリティ」という発想

Q. 当然、開発とQAのプロセスそのものも変わっていくと思いますが?

加藤 そのとおりで、これからはPCの仕様などアーキテクチャレベルからQAが開発に関わっていくようになります。QAエンジニアとプログラマーが一緒になって開発を進めていくというスタイルですね。社内では「テスタビリティ」という言葉を使っているのですが、開発のすべての段階で常にテストのことを意識するように徹底しています。

 それから、先ほども少し触れましたが、DSというユニークな組織をつくりました。これは、開発やQAの環境を整備するためのグループです。言うならば、テストラボのマネージャのような存在で、QAエンジニアの作業をサポートしています。このDSによって、QAエンジニアの仕事の効率が3〜4割アップすると考えています。

Q. QAの改革は今後、サイボウズにどのようなメリットをもたらしていくのでしょうか?

加藤 これは今回のプロジェクトの大きな目的でもあるのですが、QAに対する社内の意識を変えていきたいと考えています。サイボウズはとても若い人たちの会社で、QAのスタッフもほとんどが20代、この業界に入って数年という人たちです。まずはこの若いスタッフたちに「QAとはなにか?」ということを1から学んでほしいと思っています。わざわざテストツールを自分たちで開発するのもそのためです。

 私が考えている、QAにおけるコンペティターはマイクロソフトであり、IBMです。これら企業に勝る品質を実現していくためには、当然、組織やスタッフのレベルで超えていかなければなりません。私たちのゴールはそこにあることを、常にスタッフたちに話しています。

 また、QAの向上は売上にも直結するはずです。当社の製品は30日間無料で試用できるシステムとなっています。その試用によって購入するかしないかを決めるのには、もちろん機能も重要となりますが、品質が大きく関わってくるのです。

 現在、当社の主力である「サイボウズ Office」と「サイボウズ ガルーン」の次世代の製品の開発に取り組んでおり、今回のプロジェクトの成果が反映されています。ぜひこの挑戦を成功させて、世界トップレベルの品質を実現していきたいと思っています。

加藤大受プロフィール

サイボウズ株式会社エージェント事業部開発本部品質保証グループマネジャー

1994年ボーランド株式会社に入社し、データベース関連の製品のQAおよびプロジェクトマネージャとして製品開発に関わる。2000年にボーランド株式会社を退社後もさまざまな製品の開発やマネージメントを経験し、2004年1月サイボウズ株式会社に入社。現在、開発本部品質保証グループマネージャとしてQA組織、開発プロセスの改善を積極的に実施している。オープンソースのRDBMSであるFirebirdのユーザー会「Firebird日本ユーザー会」の理事長や専門誌への多数の執筆などIT系のさまざまな分野で活躍している。


この記事は、マーキュリー・インタラクティブ・ジャパンが「BTO: Business Technology Optimization」(ビジネス・テクノロジの最適化)をテーマに季刊で発行している広報誌「Mercury BTO News」に掲載されたものをITmediaが編集・掲載したものです。



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