第4回:間隙を突いたWeb型グループウェア連載 「グループウェア」は再び革新の主役に?(3/4 ページ)

» 2005年01月18日 01時26分 公開
[吉川幸比古,ITmedia]

ポータル化の波

 Web型グループウェアのもう1つの革新性は、ほかのシステムとの連携方式である。社内にWeb化されたアプリケーションがあった場合、Web型グループウェアから簡単にリンクを設置して連携を行うことができる。社内に複数のWebサイトがある場合は、それらのリンク集を構築することもできる。

 こうして社内のいろいろなシステムへのアクセス経路がWeb型グループウェアに集約されてくるに伴い、グループウェアの「ポータル」化が期待されるようになってきている。最近、Web型グループウェアの新規参入組が、Web型グループウェアをポータル製品として売り込んでいるのはこういった時代の流れを読み取ったものといえるだろう。

 サイボウズは1999年のOffice3で、個人に対応した「パーソナライズ機能」を搭載した。この機能は個人が自分で必要なものを取捨選択して最適化した情報をグループウェア画面上に表示するというものだが、この製品以降、サイボウズの基本的なビジョンは、エージェント機能の提供へと進化した。これはユーザーが自ら設定した情報を元に社内の膨大な情報から必要なものを必要なときに探し出して表示するというコンセプトだ。この考え方は、IBMが提唱し始めたワークプレイス構想と似ていて、企業内システムにおけるフロントエンドのポジションを確保しナレッジワークプレイスを実現しようというものだ。

Web型グループウェアの限界

 ただし、Web型グループウェアにも弱点はある。Web型グループウェアはサーバ集約タイプで運営されるために導入や管理コストが小さくなることは前述した。しかし逆にサーバ集約型であるためにどうしても、スケーラビリティーや処理性能の面では、Notes/Dominoなどの分散型のものに比較すると見劣りがする。

 サイボウズではこの欠点への対処として、ポータル型と名づけたガルーンを投入したが、実際にはこれもユーザー数1000人くらいまでの企業でしか使えない。ガルーンの場合、ユーザー数が1000人を超えるとサーバを分離していく必要が生じる。分離したサーバ間の連携はサーバ間連携機能で実装することになるが、現状のガルーンのサーバ間連携機能は、別サーバのユーザーのスケジュールの変更や削除はできない。大規模ユーザーにとっては物足りないだろう。この冬にリリースされたVer. 1.5でも未対応であり、同社は次期バージョンで根本的な対応を図るとしている。

 このあたりは、サイボウズ自身がガルーンを世に出したとき、ターゲットとする企業のイメージを明確にできていなかったのではないだろうか? サイボウズは最近、ガルーンの販売先ターゲットを500人から1000人規模の企業へと絞り込んだようだ。今後、前述したサーバ連携機能以外では、組織変更や人事異動に伴うユーザー管理の簡素化がターゲットになりそうだ。こうした機能は、この規模の企業での運用時にポイントとなるからだ。

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