2005年のIT予算は2.5%増、先行投資なしでビジネスへの貢献を求められるCIOたちガートナーレポート 2005年CIOの課題

ガートナーが世界のCIO、1300人を対象に調査を実施したところ、IT予算は2.5%と微増にとどまるものの、ビジネスへの貢献が求められ、ビジネスプロセスとビジネスインテリジェンスに目を向け始めている実態が浮き彫りに。

» 2005年02月07日 17時49分 公開
[ITmedia]

 2005年、世界のIT予算は2.5%増──ガートナーの事業部門であるガートナー・エグゼクティブ・プログラム (EXP) が世界中のCIO (最高情報責任者) 1300人を対象に調査を実施、「ITによる貢献:2005年CIOの課題」と題したレポートで明らかになった。

 ガートナーでは、ここ数年間、CIOらは経済環境上向きへの準備を整える一方で、内部効率と原価管理に注力してきたが、今回の調査で大多数のCIOが、「ビジネスを成長させ実績を挙げる」ためのIT投資へとシフトすると予想している。また、CIOの多くが、CEOとの関係の維持したり、改善することの難しさや、ビジネスニーズにこたえられる人材の確保の難しさを感じているとも。

 ガートナーEXPでグループバイスプレジデント兼リサーチディレクターを務めるマーカス・ブロシュ氏は、「ビジネスへの貢献に対する期待が高まっており、そのため、CIOは大幅な先行投資なしで、情報システム部門の組織変革を求められている。この課題にこたえるべく、CIOらはビジネスプロセスとビジネスインテリジェンス (BI) に目を向け始めている」と話す。

 ビジネスプロセスの強化は長年、情報システム部門が取り組んできた分野だが、もはや個々の処理の高速化ではなく、「プロセスの融合」だとブロシュ氏は指摘する。顧客の視点に立ち、すべてのプロセスをリエンジニアリングするとともに、従来はそれぞれが独立していたビジネスプロセス、情報、アプリケーションをビジネス部門や地域全体で統合することに焦点が当てられているという。BI環境が統合されることによって、成長の機会や効率、顧客へのサービス品質向上などのチャンスも出てくる。ブロシュ氏は、CIOと情報システム部門の役割をビジネスプロセスの革新にまで広げることで、当面の投資を増やすことなく、ビジネスに関する価値を高められると話す。

3つの課題を抱えるCIO

 また、今回の調査でCIOが今年直面する3つの課題も明らかになった。「CIOとCEOの関係」「人材」、および「変化するITの役割」だ。

 興味深いことに「ITとそのパフォーマンスをCEOに評価された場合、自身の立場が“危機に直面する”」と回答したCIOは、全体の3分の2に上った。ガートナーでは、サービスに対する貢献と事業成長を促進するITの能力を十分に把握、CEOが理解できるように、ITの専門用語を用いることなく、ビジネスの観点から理路整然と見識を示す必要があるとしている。

 また、ビジネスニーズにこたえられる人材を確保していると答えたCIOは39%にとどまった。特にビジネスプロセスの改善という目標達成に必要な能力が整っていると回答したCIOはわずか20%だった。

 人材の課題とも関連するが、情報システム部門の役割も新たな局面を迎え、ITガバナンス、ビジネス部門との関係、アカウンタビリティ (説明責任)、そしてIT全体の組織構造は変化を強いられることになるとガートナーではみている。CIOに対しては、情報システム部門を統括する技術担当上級経営管理者、自社が直面している課題に対処する技術を実装する技術リーダー、および上級経営管理者チームのメンバーとして3つの役割が求められ、それにこたえるべく、ビジネス、技術、リーダーシップ、個人の能力を高めていくことが必要だとブロシュ氏は提言する。

 なお、ガートナージャパンでは、2月15日(火)から2日間、東京・品川の東京コンファレンスセンターで「ビジネス・インテリジェンス サミット 2005」を開催する。

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