日本オラクルは「Oracle 10g World」を東京国際フォーラムで2日間の予定で開幕させた。
日本オラクルは2月24日、「Oracle 10g World」を東京国際フォーラムで2日間の予定で開幕させた。51社のスポンサー企業、66のセミナー、36社の出展企業が参加し、延べ2万人の来場者を見込む一大イベントとなっている。焦点は、同社が25日に発表するプラットフォーム製品最新版「Oracle 10g Release 2」を参加企業にアピールすることだ。
オープニングで、新宅正明社長は、同社の最近のビジネスの状況について、10gの市場での立ち上がりが順調であること、RAC(Real Application Clusters)が成功していることなどを来場者に伝えた。また、企業システムのプラットフォームOSに、Linuxの採用が急速に進んでいるとも述べ、Linuxに注力してきた同社の取り組みが実を結んできていることを強調している。
「ハイエンド分野でもLinux成功の芽が出てきた。来年度は全体の25〜30%をLinuxにしていきたい」(同氏)
さらに同氏は、オラクルの2005年の製品戦略について4つの分野を挙げた。SOA(サービス指向アーキテクチャ)への対応などを含めた「インフラストラクチャ」、2月15日にデータベースセキュリティコンソーシアムを設立するなど注力している「セキュリティ」、電子マネーやRFID、携帯情報端末などを対象にしたデータベースである10g Liteを提供する「ユビキタス」、RACによる仮想化技術を最大限に生かす「グリッド」の4つとなっている。
一方、基調講演は、米Oracleサーバ技術部門担当の上級副社長、チャールズ・ロズワット氏が、「Working on the Grid-Oracle 10g Release2」をテーマに行った。同氏は、10g Release2がパフォーマンス、信頼性、セキュリティなど、さまざまな観点から優れているとしてアピールしている。
ロズワット氏が特に強調したのは、10gのグリッドコンピューティング環境において、アプリケーションレベルのクラスタリングが可能になること。複数のサーバマシンのリソースを仮想化することにより、アプリケーションが各サーバのディスクに依存しなくて済むようになるため、1つのサーバがダウンしたとしても、そこで稼動していたアプリケーションが止まることはない。
この日は、グリッドの機能に着目したデモンストレーションも行われた。4ノードでCRMとERP、SCMを稼動させている企業の情報システムにおいて、ERPを稼動している1ノードに障害が起きたことを想定している。障害に対応し、10gをベースにした同システムは、インスタンスをリスタートさせ、ワークロードのロードバランシングを行う。それにより、ERPの稼動は別のノードに引き継がれるという流れだ。
また、障害を起こしたノードの復旧後、システムを元通りに稼動させる様子も紹介された。
また、ロズワット氏は、SOAをベースに構築される新たなアプリケーション体系として注目される、コンポジットアプリケーションも詳しく紹介している。
コンポジットアプリケーションは、業務システムの小さな単位同士を、Webサービスで連携させることで、新たに基幹となるアプリケーションを構築する手法だ。たとえば、融資申し込みの承認、与信チェック、支払い処理といった機能を提供する各コンポーネントを、Webサービスを通信手段にエンタープライズサービスバスで統合することで、金融機関が住宅ローンを管理する新たなアプリケーションを構築するといった利用方法が考えられる。
このとき、各プログラム同士がきちんと対話すること、さらに、システムが正常に稼動していることを確認するBAM(ビジネスアクティビティモニタリング)といった機能が10g Release2に含まれていることも併せて紹介されている。
なお、この日は、10g Release2の早期導入ユーザーの声も、ビデオを通じて多く伝えられた。
クルマの買い取りと販売を行うガリバーは、社内向け情報ポータルの基盤として「Oracle Application Server Portal 10g」を導入した。シングルサインオン機能、パーソナライズ機能、およびユーザー数に応じた拡張性などを高く評価したという。また、従来は10〜15秒かかっていた検索機能が3秒ほどとなり、速さを体感できるとしている。
また、東京証券取引所も10gを使い、レガシーシステムをオープンシステムへ移行しようとしていることが紹介された。
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