オープンソースで利益を生むためには――OSJが内外事例を披露

「オブジェクトとして捉えられることが多いOSS。しかし、基幹システム利用には、サービス指向が必要」とOSJの角田氏。3月15、18日に開催のOpen Source Realize Forum 2005で同社は、内外の最新事例を見せる。

» 2005年02月28日 21時05分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 「従来のようにオブジェクトにこだわらず、オープンソースは今後、サービス指向でなければならない」。オープンソース・ジャパンの代表取締役社長の角田好志氏は語る。

 オープンソースソフトウェア(OSS)は、TCO削減以上のインパクトを与えてくれる。業界がそう話題にしてから久しい。「局所で確実に使われてきているが、まだまだノウハウ自体が行き渡っているわけではない。技術は特定ベンダーの蓄積が顕著であり、ユーザーサイドではライセンス問題などでまだまだ誤解が多い」と角田氏は指摘する。また、基幹システムについて「大規模なWebアプリケーションでは、Java優勢と決めつける傾向がある。しかし、ミッションクリティカルな要件にOSSは十分耐えうるもの。オープンスタンダードとして選択肢は常に用意しておくべき」という。この方向性としてJava攻勢と語る「IOSSA」も話題の1つだ(関連記事)。

 オープンソースのエンタープライズ指向は、オープンソース・ジャパンの動きからだけではない。

 レッドハットのRed Hat Enterprise Linuxによる方向転換を機に動き出したと言える各OSSの対応は、PHP 5であればMVCを意識するオブジェクト指向の採用(関連記事)、最近であればMySQLの商用ライセンス見直しなど(関連記事)、同社に関わるOSSでも強く意識している。角田氏は、これらの情勢からも機運が高まっていると語る。

OSSを正しく理解すれば十分にミッションクリティカルな基幹に相応しい構築・運用が可能、と角田氏

OSJは何を目指しているのか

 オープンソース・ジャパン(OSJ)は、前身となったゼンド・オープンソースシステムズの時代より、PHPを筆頭としてMySQLのサポート、そしてLAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP)構築推進ベンダーとして活動を行っている。「オープンソース・ジャパンを核として事業ごとに展開したのは、PHPだけに止まらずOSSを幅広く基幹システムで利用するための基盤作り」と角田氏。

 また、オープンソースそのもののノウハウは、ほとんどが米国発、そしてコミュニティ内で先導する情報が多い。エンタープライズ利用のためには、これらの情報整備が必要であり、オープンソース・ジャパンの立場はこれらの啓蒙、そして成果をコミュニティへと還元することも考えているという。事業として同社の方向性は、「まずは、現在の事業展開で基幹実績を増やすこと。そして、Zopeのように賛同するOSSを国内でビジネス利用啓蒙、そして事業展開を行っていきたい」と語る。

Open Source Realize Forum 2005で内外の最新事例を披露

 オープンソース・ジャパンがこれまでに培ったノウハウ、そして関連する事例は、3月15日(神戸)と3月18日(東京)に開催のイベント「Open Source Realize Forum 2005」で披露する。

 神戸会場では、オープンソースをいち早く授業へ採り入れだした神戸情報大学院大学から開学準備室長の福岡壮二氏が登壇。同大学の教育方針、そして業界に根付いた教材を取り入れている特色についてを紹介する。

 また、Zend TechnologiesのJohn Coggeshall氏からは、PHP 5の最新事情。前述したオブジェクト指向プログラミングが基幹Webアプリケーション構築にどのような効果をもたらすかがポイントとなる。ZopeからはRob Page氏による海外採用事例について、MySQL ABからはDavid Axmark氏が来日、それぞれのOSSの視点からエンタープライズ利用に相応しい機能性が披露される予定だ(講演内容詳細)。

 3月18日の東京会場では、神戸会場のスピーカーに加え、国内事例がいくつも用意された。

 先ごろ、テレビ朝日のTVクイズ番組で採用されたPHPシステム構築を行ったNECソフトウェア東北からは、佐藤正行氏が登壇。書籍通販サイトを構築したクリエイジから西脇 隆氏が招かれる。それぞれのシステムに課せられた要件が明かされ、それを満たしたオープンソースの採用背景が講演ポイントとなるだろう。

 また、オープンソース・ジャパンの傘下、イーセキュリティー・ジャパンは、セキュリティ最新動向、そして同社のHTTPに関わるプロダクトを紹介する。

 オープンソースといえば、商用展開でもコミュニティ協調がテーマの1つとして語られることが多い。しかし、前述したように方向性の1つとしてサービス指向への注力は、他言語事情からも企業利用に必須なものとなっている。角田氏は、ビジネスの場で要求される土壌整備こそが、今、オープンソースが次世代へと向かうための切り札だと語る。

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