IBM、Informixをバージョンアップ。Express版も計画

「Informixをほとんど売り込まず、DB2を推進している」との批判もあったIBMだが、Informixの大型アップグレードをリリースしたほか、中小企業向けのExpressも計画している。(IDG)

» 2005年03月02日 12時39分 公開
[IDG Japan]
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 米IBMは3月2日、「Informix」データベースの大型アップグレードをリリースするとともに、今年半ばまでに中小企業向けに同製品の新たな「Express」エディションを提供する計画を明らかにした。

 Informix Dynamic Server(IDS)バージョン10は、性能、管理、セキュリティが改善され、Linux 2.6カーネルのサポートも追加されているとIBMは説明する。同社はこのバージョンを、5年間で最も重要はIDSのアップグレードと呼んだ。

 IBMはInformixのデータベース事業を2001年に10億ドルで買収した。顧客はIBMがInformixのアップデートを継続し、同社のDB2製品ラインへの移行を強制しないことを賞賛しているが、同社がInformixの売り込みをほとんど行わず、DB2ブランドを推進しているとの批判も一部にはある。

 しかしこの状況は多少変わっているのかもしれない。この1年、IBMはそれまで以上に積極的にパートナーにマーケティング資金を提供しているようだと、Informix技術サービスを提供する英Ardentaのディレクター、ネイル・トルビー氏は話す。

 「この1年、われわれは大いに励まされた。IBMは、われわれと協力して新規および既存顧客にリーチできることが分かってきたのだと思う」と同氏。

 IBMが公に支持を打ち出すことで、Informixが依然として発展し得るプラットフォームであることが見込み顧客や既存顧客に示されるため、これは重要なことだとトルビー氏は言う。同氏はInformix International User Groupの元ディレクターでもある。

 「Informixは死んだ、あるいは死にかけていると思ったら、ユーザーはこの製品を捨ててしまうだろう」(同氏)

 IBMは、Informix製品へのコミットは続けていると語り、2010年までのロードマップを明らかにした。同社はIDSとDB2の間での技術の移行を継続しており、現在はこれらプラットフォーム間での双方向データ同期化を可能にする方法に取り組んでいるという。

 新版IDSのリリースで、IBMはメモリ割り当てと構成可能なページのサイズを改善し、クエリー性能を強化している。またバージョン10ではバックアップ・リストアユーティリティを改良して、セカンダリサーバのセットアップを迅速化しているほか、ログ管理ツールも改善している。複数のサイトでデータのコピーを生成するEnterprise Replication機能にテンプレートのサポートが追加され、導入が容易になっている。インストール時間を半分にできる新ツールも付いているとIBMは説明している。

 またバージョン10では、管理者が個々のテーブルに「ポイントインタイム・リストア」を実行できる。この機能はDB2では既に提供されている。現行版ではデータベース全体をリストアし、希望するテーブルをコピーして再度挿入しなくてはならないとトルビー氏。「これは詳細な制御の問題だ」

 新しいセキュリティ機能としては、PAM(Pluggable Authentication Module)のサポートなどがある。PAMを使うと、管理者は個々のアプリケーションの認証と列レベルの暗号化をカスタマイズできる。

 IBMは、今年半ばに登場予定の中小企業向けバージョン「IDS Express Edition」についてはほとんど詳細を明かさなかった。この製品はWindowsとLinuxに対応し、中小企業に魅力的な価格設定になるいう。

 同社は既にDB2のExpressバージョンを提供している。ライバルのOracle、Microsoftも市場のローエンドに向けたデータベースを投入している。

 IDS 10のパッケージングにはわずかに変更があり、Workgroup Editionを使う顧客は別途High Availability Data Replicationオプションを購入しなくてはならない。さらに同ソフトは最大4プロセッサまでのマシンで利用できるようになった。

 IDS 9.xのメンテナンス契約を結んでいる顧客は、追加料金なしでバージョン10にアップグレードできる。同バージョンを新規購入する場合の価格はまだ明らかになっていない。IBMのWebサイトによると、既存のIDS Enterprise Editionの無制限のプロセッサライセンスは、1年間のメンテナンス付きで5万ドル。

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