無線LAN携帯やWeb会議をシームレスに──NECがコミュニケーションポータル

NECは、N900iLのアクセスポイント情報からユーザーの居場所を把握し、最適な手段を選んでコミュニケーションできるポータルを発売する。

» 2005年03月23日 19時03分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 NECは3月23日、IP電話やWeb会議、電子メールなどを連携させる企業情報ポータル「StarOffice21/コミュニケーションポータル」を5月23日に発売すると発表した。IP電話からシームレスにWeb会議に移行できるなど、コミュニケーション機能の連携を強化。無線LAN対応FOMA端末「N900iL」から社員の位置情報を取得し、居場所や状態に応じて適切な方法で連絡が取れる。

 ITとネットワークを統合運用する「UNIVERGEソリューション」の一環として、昨年11月から、同社オフィスで一部導入済み。社内の活用事例をもとに利便性をアピールし、受注につなげる。

 新製品は、Web会議やソフトフォン、無線LAN対応携帯電話など、各種コミュニケーション手段の連携を強化した上でシームレス化し、社員間コミュニケーションを効率化する。

StarOfficeと連携した状態。「会議」「本社2F会議室」など、状態と所在地が表示される

 軸になる機能が「統合プレゼンス」。社員が社内にいるのか、会議中なのか、外出しているのか──といった状態(プレゼンス)を事前に確認できる。位置情報は社員が持つN900iLから取得し、各プレゼンス情報はグループウェアのスケジューラに連携させて表示する。相手の状態に合わせて電話、メールなどのメッセージング手段を選ぶことができ、不在の相手に内線をかけるといった無駄が省ける。

Web会議画面

 コンタクトの手段や相手を動的に変更できる「ダイナミック・カンファレンス」機能も強化ポイントの1つ。例えばPCからIP電話で通話中、Web会議にワンクリックで移行し、資料データを共有しながら話し合ったり、必要なら別の参加者の居場所を確認した上で追加招集する、といったことが可能だ。

 従来製品で通話中に資料データを共有する場合、いったん通話を終了し、Web会議システムを別に立ち上げて入り直す必要があった。社員間コミュニケーションの効率化を図りながら、VoIPサーバなど各種機器を一元管理することで運用面でもコストと手間を省けるメリットがある。

 連携可能なグループウェアは、NECの「StarOffice」のほか、日本アイ・ビー・エムの「Lotus Notes」、マイクロソフトの「Exchange」など。ただしNotes対応は2005年度第2四半期から、Exchange対応は同下期以降となる。

 新製品は、NECが進める「ブロードバンドオフィス計画」の一環。高速ネットワークをベースに、オフィスや従業員が柔軟な情報共有やリアルタイムコミュニケーションを行える環境を整え、生産性の向上と1割のコスト削減をうたう。

 まず、同社のオフィス兼ショールーム「NECブロードバンドソリューションセンター」(東京・品川)に昨年11月に導入。社員が実際に使って実績を積み上げた後、システム化して外販する方式を採用した。

 導入効果は部署によって異なり、例えば営業部隊の場合、営業マンの移動時間や使用する紙の量が減るなどといった効果があったという。課題や運用ポイントを、営業、サポート&サービス、パートナー支援、商品企画・開発の4分野ごとに整理し、顧客の要望に応じて具体例を提示できるようにした。

 価格は50ユーザーで430万円から。今後1、2年で3000億円の売り上げを見込み、今後3年間で1000社の導入を目指す。

N900iL活用のモバイルオフィスを社内実践

 同社は固定電話のIP電話化を進めている。3月までに本社ビルの移行が完了し、9月末までに100拠点に3万台のIP電話を導入する予定。うち70拠点にはIPセントレックス方式を採用し、運用を効率化する。IP電話の8割はソフトフォンにする計画で、2月末時点で全社の63%、約8400台をソフトフォン化した。

 N900iLも全社導入を進め、現在の約350台を9月末には同1万台に増やす。今後は同端末のiモード機能を活用して社外から社内ネットワークにアクセスできるようにしたり、社内の無線LAN化を強化するといったモバイル対応も進める。いつでもどこでも仕事ができる環境構築を実践し、無線LANとFOMAを連携させた企業向けシステムのショールームとして拡販にも役立てる。

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