ノベル、NetWareの思想を受け継いだSUSE LINUXベースのパッケージ製品を発表

ノベルは、NetWareで提供されていたネットワークサービスをLinux上で動作させるパッケージ製品「Novell SUSE Open Enterprise Server」を5月23日から出荷開始する。

» 2005年04月14日 19時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 ノベルは4月14日、NetWareの資産を生かし、Linuxの適用範囲を拡大するための戦略的なパッケージ製品「Novell SUSE Open Enterprise Server」(SUSE OES)の出荷を5月23日から開始することを発表した。

 米国では3月から出荷開始されている同製品は、「Novell SUSE LINUX Enterprise Server 9」(SLES9)上に、Novellが20年以上かけて培ってきた各種のネットワークサービスをミドルウェアの形で移植したもので、Novell NetWareの後継としても位置づけられている。

OES YaSTにeDirectoryなどのアイコンも見える「Novell SUSE Open Enterprise Server」のデスクトップ画面

 提供されるネットワークサービスとしては、「ディレクトリサービス」「」ファイルサービス「プリントサービス」「クラスタサービス」「マイグレーション」「集中管理」などが挙げられるが、これを各ミドルウェアと対応づけると以下のようになる。

機能 ミドルウェア
ディレクトリサービス Novell eDirectory
アカウント管理 Novell Nsure Identity Manager
ファイルサービス Novell Storage Services
プリントサービス Novell iPrint Service
クラスタサービス Novell Cluster Services
マイグレーション Server Consolidation Utility
集中管理 iManager

 これまでエンタープライズLinuxというと、その多くがデータベースやWebサーバなど個別の用途で企業内に浸透してきた。「単にファイルをやりとりするだけならSAMBAなどを利用すればできるのは事実」とノベルマーケティング本部プロダクトマーケティングマネージャーの飯田俊樹氏は話しているが、個人情報保護法の施行に伴い、ファイルとディレクトリに対する強力なアクセスコントロールを求める声も今まで以上に出てくることが予想される。そこで、Novell eDirectoryでSLES9、ActiveDirectory、Novell eDirectory上のユーザー情報を一元的に集中管理し、ファイル単位のきめ細かいアクセスコントロールを最大32ノードの高可用性システム上で提供するなど、「Linux上ではじめてエンタープライズネットワークサービスを提供する」(飯田氏)ことで、ユーザーのニーズに応えようとしている。

 また、Novell NetWareやサポート期限が終了したWindows NT Server 4.0のユーザー設定などをSUSE OESに引き継ぐための移行ツールなども用意されており、それらの環境からの移行の受け皿としても期待されているようだ。

マイグレーションツール 移行ツールの1つ

 価格はオープンプライスだが、市場推定価格は68万2500円(税込み)。この価格にはSLES9(16CPUまで)のサーバライセンスのほか、既存のNetWare環境などを残す必要があるユーザーのために、ディレクトリの連携を可能にするNsure Identity Manager Windows/eDirectory Driver各300ユーザーライセンスも含まれる。製品は現在100社を超える販売代理店を通じて販売する予定で、6月にはSUSE OESの認定資格制度の開始も検討しているという。

 なお、ベースとなるSLES9は「SUSE LINUX Enterprise Server 9 for x86」で、IA32サーバがハードウェアプラットフォームとして想定されている。このため、現時点では64ビット環境のメリットは最大限に活用できないと言える。

 また、すでにSLES9のユーザーに対して、ミドルウェアの部分だけを販売する予定は現時点でないとしているほか、既存のNetWareユーザーに対しても優待価格などを設けることはないという。

 「SLES9の販売も合わせ、2005年度は金額ベースで国内Linux市場の10%+α程度のシェアを目指す」(飯田氏)

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