統合か対立か、Eclipseに2つのオープンソースORMプロジェクト

VersantとOracleがEclipse内で、ほぼ同時期に類似のオブジェクトリレーショナルマッピングプロジェクトを提案した。両社はこれから統合の可能性を話し合う。(IDG)

» 2005年04月20日 12時42分 公開
[IDG Japan]
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 VersantとOracleが似たような提案を出したことから、Eclipse内でオブジェクトリレーショナルマッピング(ORM)をめぐり、オープンソースプロジェクト同士の戦いが起きるかもしれない。

 Versantは4月19日、JSR(Java Specification Request)220を基盤とした標準ベースのORMに向けた取り組みを主導することを提案したと発表した。この仕様は、JavaにおけるORMの標準を定義するもの。Versantの取り組みはEclipse内では「JSR-220 ORM」と呼ばれている。

 この取り組みの鍵になるのは、VersantのORMツール「Versant Open Access」をオープンソースツールとして提供する計画だ。これにより、同社はEnterprise JavaBeans(EJB)3.0とJava Data Objects(JDO)2.0に対応するマッピングツールとランタイムを寄贈する。EJBとJDOはいずれ統合される予定だ。

 だがOracleも先週、Eclipse内で同様のプロジェクトを発表している(4月14日の記事参照)。同社はこのプロジェクトで、Eclipseパブリックライセンスの下でオープンソースのEJBベースORMツールの構築を支援する。

 2つのプロジェクトが登場した経緯について、「私が言えるのは、Eclipseに聞かないと分からないということだけだ」とVersantの製品戦略担当副社長ロバート・グリーン氏。「われわれはOracleのプロジェクトを知らなかったし、Oracleがわれわれの計画を知っていたとも思えない」

 「現時点ではいずれも提案であり、統合が理にかなっているのであれば、どのようにして協力できるかを見極めていく」と同氏。Versantは今週、Oracleとプロジェクト統合の可能性について話し合う予定だ。18日の時点ではOracleからコメントは得られていない。

 Versantは、同社のプロジェクトは既存のVersant Open Access技術を寄贈することを基盤としているため、Oracleに一歩先んじていると考えている。「もう商用版はない。オープンソース版だけだ」

 「われわれは基本的に、この標準ベースのソリューションをメインストリームの開発者に提供している」(同氏)

 Eclipse Foundationのエグゼクティブディレクター、マイク・ミリンコビッチ氏は18日に用意された声明の中で、同団体は別々の企業から2つの似た案を提示されたと述べ、Eclipseプロジェクトは関心を集めているため、時折プロジェクトの重複があっても意外なことではないと話している。

 「これらの提案が公表された今、2つのチームはプロジェクトを統合するべきか、別々に進めるかを話し合うと予想している。最終的に決定を下すのはEclipse Foundationではなく開発者たちだ」(ミリンコビッチ氏)

 ORMは、Java開発者が今後どのようにデータベースとやりとりするかを示すものだとグリーン氏。「これまでのやり方よりもずっと簡単で、もっと低レベルのアクセスに関連する」と同氏は説明し、開発者は自分が構築したアプリケーションを数分でデータベースに接続できるようになると付け加えた。

 Versantは発表文の中で、IBM、BEA Systems、OracleなどのEclipseメンバーとの協業を楽しみにしていると述べている。Eclipse Foundationは同社のプロジェクトを支持している。Oracleは今回のEclipseプロジェクトを発表した際、JBoss、Sun、そしてEclipse Foundationから支持を得たことを挙げていた。

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