OpenOffice.org 2.0について、2人のマネージャーに聞くFocus on People(1/2 ページ)

全面的に改良された新バージョンOpenOffice.org 2.0がいよいよリリースされる。コミュニティー・マネージャーLouis Suarez-Pottsとリリース・マネージャーMartin Hollmichelに前版との違いについて聞いた。

» 2005年05月11日 16時31分 公開
[Mayank-Sharma,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine

 OpenOffice.org(以下、OOo)は、現在入手可能なオープンソース・オフィス製品の中で最も包括的な製品である。プロジェクトが立ち上がって5年目の今年、全面的に改良された新バージョンOpenOffice.org 2.0がいよいよリリースされる。

 それに先だって、今年3月には最新バージョン1.9(2.0ベータ版という名でよく知られている)が公開されたが、改良点に満足する人がいる一方で、Javaの使用を批判する人もいる。コミュニティー・マネージャーLouis Suarez-Pottsとリリース・マネージャーMartin Hollmichelにインタビューし、前版との違いについて聞いた。

OpenOffice.org 2.0の大きさについて伺いたいのですが、参考になるような数字を教えていただけませんか。たとえば、OOoのコード量はどれくらい増えましたか。

Louis Suarez-Potts(以下LSP) 「増えたか」ですか。むしろ、逆なんですよ。一斉にコードを整理したお陰でスリムになりました。(コードの行数は)当初760万ほどでしたが、ひょっとすると、それより小さくなったかもしれません。これには新規に追加したデータベース・コンポーネントは入っていませんが、この行数を含めるのは疑問があります。

Martin Hollmichel(以下MH) スリムになったとも言えるし、太ったとも言えます。コードを整理して多くの部分を書き直しましたが、その一方で基幹部分以外で新しい機能を追加したためにコードが増えました。ほとんどあらゆる点で使い勝手をよくしましたし、Microsoft Officeとの相互運用性も向上させました。扱えるファイル形式を拡大し、システムの統合性を改善し、スクリプト環境で使える言語も増やしました。ほかにも新機能はたくさんあります。ですから、全体のコード量は増えています。

OOo 2.0の位置づけは? 通常のアップグレードでしょうか。それとも、まったく新たな製品と言うべきでしょうか。

LSP まったく新しい製品と言えるでしょう。OOo 2.0では標準化されたOpenDocument形式を採用していますから、ファイル形式も変更されました。これはアプリケーションのコードに直接結びつくわけではありませんが、重要な点です。さらに、企業や政府機関にとって決定的な点ですが、Microsoft Officeとの相互運用性が相当程度向上しました。一言で言えば、今回のリリースは新たな、しかも希望に満ちた始まりなのです。業務利用でも個人利用でも、この変化に満足してもらえるでしょう。

 OOo 2.0の特徴は異種環境を前提に設計されていることにあるといえます。WindowsでもLinuxでも、快適にお使いいただけるというわけです。一方、Microsoft Officeは、Microsoft環境の中でのみ快適に使えるよう作られています。Microsoftは異なるものを排除し、OOoは異なるものを受け入れるということです。

2.0に求められた機能は膨大です。開発に当たっては、どのように対処したのでしょうか。実現すべき機能に優先順位をつけたとすれば、その基準は?

MH 2.0で予定した機能のほとんどは、Sunの技術者が実装しました。専従の開発陣がいたこともあって、新機能のほとんどは予定どおりに進捗しました。CVSの上に子ワークスペースを置く開発モデルを採用したのですが、そのお陰で、一部の機能を延期することができましたし、最終的に2.0に盛り込んだ機能の品質も高くできました。新Chartなど規模の大きな機能については個別に開発し後から統合することができますので高品質を確保することができます。

 オープン・スペック・プロセスという手続きを導入し、ボード上に大規模なQAコミュニティーを作ったのですが、これは新機能に関する意見を得るのに大いに役立ちました。実装に着手する前でさえ有効でした。また、コードをメインCVSトランクに組み込む前にQAを行うのも重要です。

LSP 優先順位については、昨年公開した製品Qの概念に明らかにされています。ご覧になれば分かりますが、「Microsoft Officeとの相互運用性」が最優先課題です。何故なら、大企業などの大手クライアントは、MS Officeとの完全な相互運用性を持ち、異種環境で、あるいは環境を変えても問題なく作業を継続できるような無償オフィス・スイートを望んでいるからです。2.0ではOOoへの切り替えが容易になり、UIも馴染みやすく、より直感的にさえなりました。

2.0関連のリリース予定を教えてください。バグの改修や新機能の追加以外に何か予定していますか。

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