MS、低スペックマシンでも利用可能なWindows XP“Eiger”を準備中

Pentium IIプロセッサ、128Mバイトメモリというロースペックで動作するWindows XPをMicrosoftが計画中だ。サーバ利用が目的だが、IEはバンドルされるという。(IDG)

» 2005年05月13日 11時27分 公開
[IDG Japan]
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 MicrosoftはWindows OSのアップグレードを検討しているユーザー向けに、Windows XPの機能制限版を準備中だ。ただし、完全な「PC」になるわけではない。

 このソフトウェアはコードネームを“Eiger”といい、Windows XP Professional SP2をベースにする予定。サーバ中心のコンピューティング環境向けに設計されている。Pentium IIプロセッサ、128MバイトのRAM、500Mバイトのハードディスクで動作するとMicrosoftのグループプロダクトマネジャーであるバリー・ゴフィー氏は説明する。

 「古いハードウェアを持っていて、そこから何か価値のあるものを引き出したいと考えているコンシューマーが対象だ」とゴフィー氏は5月12日、インタビューで語った。

 “Eiger”は大企業ではなくホームユーザーや小規模の企業がターゲットで、Windows 95、Windows 98、Windows NT 4.0などの古いWindowsを動かしている古いPCを今でも使っている人たちに向けられた製品だ。

 このWindowsにアップグレードすることで、ユーザーはActive DirectoryやGroup Policy Managementといった管理機能を利用できるようになる。さらに、MSは古いバージョンのWindows向けのパッチ提供をやめているため、セキュリティの脅威にさらされている。“Eiger”はWindows XPをベースとしており、MSが提供するパッチによりセキュリティホールをふさぐことが可能だ。

 “Eiger”はサーバベースのアプリケーションを動かすように設計されている。Officeやビジネスアプリケーションをローカルで動かすことはできない。サーバベースのアプリケーションは、Microsoftやサードパーティー製ターミナルサービスのクライアントやメインフレームの端末エミュレーションで利用することができる。

 ゴフィー氏によれば、“Eiger”にはWebベースのアプリケーションを利用できるよう、Internet ExplorerとWindows Media Playerが含まれる予定だという。

 管理を強化するため、“Eiger”ではMSおよびサードパーティー製のセキュリティおよび管理製品をサポートする。MSのSMS(Systems Management Server)、WSUS(Windows Server Update Services)やパッチング製品は動作する。

 「顧客が第一に憂慮しているのはセキュリティ問題だ。セキュアなインフラストラクチャを提供するにはどうしたらよいのかを考えている」とゴフィー氏。「彼らにとって最善の解決策はWindows XPを搭載した新しいPCを購入することだが、新品のPCを買えない事情のある人たちもいる」と同氏。

 ゴフィー氏によれば、政府、製造業、医療、金融といった分野では“Eiger”に関心を寄せているという。例えば、20万台のPCを抱える学校なら、新しいPCを買うよりも、教科書購入や教師の給与に予算を使いたいと考えるだろう、とゴフィー氏は説明する。

 「こうした顧客にとって、よい解決策は存在していない。古いPCにWindows XPを入れることはできない。動作しないのだから。“Eiger”ならばこうした顧客のニーズに応えることができる」(ゴフィー氏)

 Microsoftは“Eiger”の出荷時期をまだ決定していない。ゴフィー氏によれば、同社は今年後半に最初のβテストバージョンを計画しており、今週、ごく限られた顧客に向けてテクニカルプレビュー版を送付する予定だ。価格は未定。

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