仮想化はベンダーの囲い込みから開放するIBM AP TotalStorage Customer Summitレポート(1/2 ページ)

IBMは、宮崎で「IBM AP TotalStorage Customer Summit」を開催。ストレージに関わる問題を解決するものとして、顧客に向けオンデマンドストレージ環境をアピールした。

» 2005年05月24日 07時16分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 IBMは5月23日、アジア太平洋地域のカスタマーを九州・宮崎に集め、「IBM AP TotalStorage Customer Summit」を開催した。「SANボリュームコントローラー」による仮想化を中心に、ストレージ統合、ILM(情報ライフサイクル管理)など、IBMが取り組むストレージソリューションを紹介した。

 年率平均60%といわれるデータの増大は、ストレージ装置の増加を生み、管理の複雑化を目立たせてきた。ストレージ業界は、それを解決しよう、と管理の簡素化に向けたソリューションに力を入れている。その中心となるのが、ストレージの仮想化だ。各社しのぎを削る部分だが、IBMも仮想化技術を中核に据えたストレージの簡素化に力を注ぐ。

アンディ・マンショウ氏 「管理にかかるコストは既にハードのコストを超えている」と話すワールドワイドストレージ副社長のマンショウ氏

 「ストレージの要件がこれまで以上に増えている」(ストレージシステム担当ゼネラルマネジャーのアンディ・マンショウ氏)――ドットコム時代と同じペースで増え続けるデータ容量の問題は、管理コストまでを肥大化させている。また、新たに登場してきたコンプライアンス(法令順守)の問題など、ストレージに関わる課題はこれまで以上に大きくなってきた。Fortun500社のIT予算のうちストレージに関連するものは、1996年時点では11%程度だったが、2007年には25%にも伸びるとの予測もあり、状況は見過ごせない。

 サーバごとに直結するストレージ(DAS)環境から、ファイバチャネル(FC)で構成されるSAN(ストレージエリアネットワーク)によるストレージ統合は、事実上のスタンダードとなってきたが、この環境の中でさらなる統合による効率化を推し進めるため、注目される技術が、仮想化だ。

 マルチベンダーによる異機種のSAN環境へ仮想化レイヤを挟み込むことによって、ストレージコントローラの違いを吸収。アプリケーションに対し、ロジカルに一貫したものとして見せることで、ストレージ側の変更をアプリケーションに知られることなく行うことができる。強いては、メディアの価格差を利用して情報の価値に応じた適切な価格帯のストレージにデータを格納する、ILMの基盤ともなってくる。

 ストレージを語る上でのトレンドともいえるこの仮想化だが、マンショウ氏は「最も重要なベネフィットは、ベンダーに中立な意思決定ができることだ」と説明する。「仮想化は選択肢をベンダーから顧客に移すものといえる。ドットコム時代はベンダーによる囲い込みが行われてきたが、仮想化はこの囲い込みを外すことができる。選択肢が顧客に移るということは画期的なことだ」。

 そして、仮想化、ILMを実現するには、オープンスタンダードが必須になるとも主張した。「顧客はベンダーに対してオープンスタンダードを要求すべきだ。そうすれば、みなの負担が減ることになる」。

デニス・イップ氏 TotalStorage DS4800はEMC、HP、日立も同類の製品を持っていないとアピールしたアジアパシフィック・ストレージ担当副社長のデニス・イップ氏
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