IBMのストレージ仮想化製品となるSANボリュームコントローラー(SVC)は、オープンシステムSAN環境の複数コントローラを集約して、仮想的に単一のコントローラとして見せることで、ストレージ装置の物理的な制約を取り払うボックスだ。複数装置のディスクにまたがり、VDiskと呼ばれる仮想ディスクを構成。8Gバイトのキャッシュと高度なキャッシュアルゴリズムでス高いパフォーマンスも維持できるという。
また、5月11日に発表した最大67Tバイトを搭載でき、4GのFCをサポートする最新のミッドレンジストレージ「ToralStorage DS4800」は、SVCと組み合わせることで、さらに効率的なストレージ環境の単純化を行える点を謳っている。
「SVCは既に1000台以上の導入実績を持っている。これは私たちの予想以上のベネフィットをもたらしたという結果だ」とマンショウ氏は胸を張ってみせた。
TotalStorageソフトウェア戦略ディレクターのロン・リッフェ氏は、急増するデータ容量に対し、コストを抑えていく手法としてILMが有効だと話す。データを分類すると、直接売り上げに結びつかないデータが大半を占めていることがほとんどからだ。情報の価値に応じてカテゴリ化し、ロジカルにプールしていくことで、優先順位を付けた管理が可能になる。
「ストレージメディアはコストにかなり幅がある。これを階層化し、ソフトでポリシーに応じて自動的に移動させる。こうすることでアクティブないデータを適切に処理できる」と同氏。
その中には、財務履歴のように法令により長期の保存が求められるものもあるが、それに対しては「TotalStorage DR500」といった、現在最安値のSATAディスク装置への保管を薦める。DR500はWORMをサポートしているほか、容量が一杯になれば、テープ装置を接続してデータを移行させることができる。
ILMを実現するには、「TotalStrage Productivity Center」「SAN File System」「Tivoli Storage Manager」や「DB2 Contents Manager」といったソフトウェア技術が密接に連携して実現することになる。
また同社は、ストレージ製品の管理インタフェースもオープンスタンダードのSMI-S上で成り立っている点も強調した。「ベンダー独自の管理はいらない。つまり1人の技術者が1つのインタフェースからの標準的に管理することで、異機種のストレージのより多くを管理できることになる。もはや相手にするのはベンダーでなく、オープン標準になる」とマンショウ氏。
しかもSVCを用いた仮想化が実現していれば、アプリケーションを停止させる必要もないため、管理のためにダウンタイムを要しない。同社の提唱するオンデマンドストレージ環境では、定型的な作業はすべてシステムが自動的にプロビジョニングやデータ移行を行うことを想定している。
「だからこそ、私たちはオンデマンドと呼んでいるのだ」(同氏)
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