マイクロソフト、開発者向けのハードウェアコンファレンスでLonghornを披露Win HEC 2005 Highlights 基調講演

マイクロソフトは都内で行われた開発者向けコンファレンスにおいて、次世代Windowsとなる「Longhorn:コードネーム」のデモンストレーションを行った。

» 2005年05月24日 17時07分 公開
[柿沼雄一郎,ITmedia]

 マイクロソフトは5月24日、東京都内でWindows XP Professional x64 Edition(x64)および次期WindowsのLonghornに関する詳細を披露した。国内イベントでのLonghornのお目見えは今回が初めてとなる。

 この催しは、4月25日〜27日まで米国ワシントン州シアトルで開催された、Windowsの開発者向けコンファレンス「Microsoft Windows Hardware Engineering Conference 2005(Win HEC)」から、特に注目度の高いセッションや国内開発者に有益と思われる情報などを一部抜粋、さらにx64やLognhornに関する最新情報を交え、おもに開発者に向けて情報発信するためのもの。事前登録を行ったユーザーを対象に無料で開催された。

 午前から行われたその基調講演では、x64への移行メリットやLonghornの新機能についての説明が行われた。登壇したのは、マイクロソフト Windows本部の業務執行役員 シニアディレクター 佐分利ユージン氏である。

Windows本部 業務執行役員 シニアディレクター 佐分利ユージン氏

 佐分利氏は、16ビット時代からのWindows製品から現在までを振り返りながら、「それぞれの製品ごとに重要な時期があった」としながらも、64ビット化は次の大きな革新とかつてない劇的な変化をもたらし、そのため現在は非常に重要な時期を迎えているのではないかとの考えを示した。

 それは、x64になってWindowsがどのように変わるのかを見ればおのずと明らかになる。第一に、64ビット化による絶対的なパフォーマンス向上がある。128GバイトのRAMと16Tバイトの仮想メモリをサポートし、大容量のデータ処理が高速化される。浮動小数点演算能力やクロックサイクルあたりの処理データ量も飛躍的に拡大する。もちろん、従来の32ビットアプリケーションも動作する。

 しかしながら、ユーザーインタフェースは従来のWindowsと同じであり、新たなトレーニングなどの必要もない。つまり、一台のPCで従来のワークステーションとデスクトップの双方の業務を遂行できる。このためTCOに優れており、トータルで非常にバリューの高い製品になっていると佐分利氏は説明する。

 すでにマイクロソフト社内では、5,000台のデスクトップにx64が導入されているという。さらに高トラフィックのmicrosoft.comやmsn Search(どちらも全世界共通のインフラ)でも利用されており、より少ないサーバ台数で同じレベルのサービスが可能になっている。

 また佐分利氏は、「64ビットへのマイグレーションはやはり業界のサポートなしではできない」として、国内過去最大のマーケティングとなる「Start Somethingキャンペーン」の本格展開を発表した。同日の発表で、Windows XP Professional x64 Edition 日本語版の提供が6月1日から開始されることを受けて、今後15カ月にわたって広告展開を行うという。

Longhornの検索機能を披露

 後半は、Microsoft ハードウェアプラットフォームエバンジェリズム ディレクター マーシャル・ブルーマ氏が登場し、次世代のプラットフォームとなるLonghornのデモンストレーションを行った。

Microsoft ハードウェアプラットフォームエバンジェリズム ディレクター マーシャル・ブルーマ氏

 Longhornの開発には、三つのエリアにフォーカスしたという。まず、次世代プラットフォームであること、Win32を拡張したWinFX、新しいグラフィックス技術や64ビットへの対応など、次世代プラットフォームにふさわしいテクノロジーがLonghornには投入されている。

 二つ目は、ファンダメンタルとしてしっかりした基盤であることだ。アプリケーションが自動的にインストールされるときは必ずユーザーに告知が行われるなど、とくにセキュリティやプライバシーについては万全の配慮が行われているという。新しいキャッシュシステムによるパフォーマンスの向上や、より安全なドライバモデルの採用による信頼性向上なども、こうした基盤としての配慮によるものだという。

 三つ目がエンドのユーザー体験を常に念頭に置くということだ。エンドユーザーはドライバの構造などには関心がなく、ただ正常に動作をしてほしいと願うのみだ。こうした点を十分に配慮し、いつでも動くというコンセプトで社内において協議を行い、Longhornでは障壁を取り除いたという。「ユーザーはテレビや電話といったデバイスと同様に、気軽にかつ安全にWindowsを利用できるようになる」(ブルーマ氏)

 スクリーン上では、アプリケーションの実行やドキュメントの検索が非常に簡単に行えることをアピールするデモが行われた。

コントロールパネルのテキストボックスに「firewall」と入力するだけで、その機能にアクセスできるアイコンだけが表示される
PCに格納されているドキュメントはその内容を示すアイコンで表示され、キーワードなどの属性を利用して仮想的に一覧表示させることが可能

 また、プロトタイプのハードウェアも披露された。7インチディスプレイのモバイルPCや、スケジュールあるいはメールなどを確認できる小さなサブディスプレイデバイスなどが紹介された。

メールの内容を確認できるサブディスプレイデバイス。現在の携帯電話が持つ仕組みに似ている

 Longhornはクライアント版が2006年末、サーバ版が2007年中に登場する予定になっている。

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