商用光ファイバーで世界最速の量子暗号鍵生成 NECなど

NEC、NICT、パワードコムが、商用光ファイバーと一般のオフィスに設置した量子暗号システムを使って世界最速の暗号鍵生成速度を達成。量子暗号通信の実用化に道を開く。

» 2005年05月31日 14時18分 公開
[ITmedia]

 NEC、情報通信研究機構(NICT)、パワードコムは5月31日、商用光ファイバーと一般のオフィスに設置した量子暗号システムを使って世界最速の暗号鍵生成速度を達成したと発表した。量子暗号通信の実用化に大きく近づいたとしている。

 16.3キロの商用光ファイバー網を利用して14日間以上、24時間連続で実証実験を行ったところ、平均13Kbpsと世界最速で最終鍵が生成でき、最終鍵でのデータ暗号化通信にも成功した。最終鍵は、送信された生の鍵から誤りや盗聴の可能性のあるビットを取り除いたもの。

 従来の量子暗号システムは、伝送路の遅延変動や、反射・散乱光の影響で、長時間安定動作させるのが難しかった。今回の実験では、光子信号とは別波長の同期用信号を送り、波長差によるズレを整えて伝送路を安定させた上、光信号を断続的に送受信することで散乱光や反射光が受信機に到達するのを防いで通信を安定させた。

 量子暗号通信は、極小の光子1個に情報を載せて通信する。第三者が盗み見ると光子の状態が変化してしまい、内容が無意味なものとなる上、盗聴があったことを確実に知ることができるため、究極の暗号化システムとして実用化が期待されている。

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