エンタープライズアーキテクチャはビジネスにならないとの声があるが、実情はどうなのか。(特集:顧客満足度ナンバーワンSEの条件)
大野隆司 (ヘッドストロング・ジャパン プリンシパル)
EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)が本格的に日本に紹介されて数年が経過した。企業内のIT環境を最適化するための手法として、大きな期待感をもってとりあげられたEAであるが、現状はどうなのだろうか。
ここ1、2年、多くのベンダーがEA(エンタープライズ・アーキテクチャ)のサービスを担当する部隊を立ち上げてきた。これは官公庁に対するビジネスに対応していくことが一義的な目的として設定されていたが、EAを官公庁以外の業界にも積極的に展開し、新しいサービスラインとして確立することも、目的として設定されているはずだ。
ただ、現在のところ、これらの取り組みが十分な実りを挙げているとは言い難い。そればかりか、「EAは儲からない」「紙を作って、ツールを売っても(売り上げは)たかが知れている」「決まったパッケージやハードを売るのと比べて営業の効率悪い」などのやや後ろ向きの意見も多く聞かれる。本当に、EAでは稼げないのだろうか。
最初に結論を言えば、EAは企業が最適なIT環境をプランするうえで有効な手法だ。EAにおいて述べられていることに、全くといって目新しいものはないが、必要な手法や記法を網羅的にかつ重複なく整理しているという点こそを、評価するべきである。
ただし、EAというものは、「これに従って進めていけば、最適な回答が導出されていく」といったメソドロジーという類のものではない。あくまでも整理・検討、そして描写するためのフレームワークであるということに注意が必要だ。
EAは、企業総体での業務とシステムが最適化された姿を描写したもの、そのためのプランというもので、EAの導入が先行している官公庁では「業務システム最適化計画」と称されている。(図1)
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