エンタープライズアーキテクチャでは稼げない?企業と官公庁におけるEA導入事情(4/6 ページ)

» 2005年06月06日 03時51分 公開
[大野隆司(ヘッドストロングジャパン),ITmedia]

EAプロジェクトは活発な官公庁

 現在、官公庁においては、多くのEAのプロジェクトが推進されている。しかし、これらのプロジェクトでベンダーがEA策定(ただし、官公庁の場合は、「業務、システム最適化計画のコンサルティング」と称されることが多い)のサービスを積極的に受注しにいくかというと、そこは少々悩ましい事情がある。

 現在、官公庁におけるシステム調達のルールとして、EAの策定のフェーズと、それに続くシステム構築(設計、開発)のフェーズを同一の業者が受注することを禁じている。システム構築のフェーズの方が一般的には発注額も大きいし、ベンダーにとっては自社の人的リソースの投入をしやすいことを考えれば、ベンダーがEAのビジネスを積極的に展開することに対して、躊躇しても無理はない。

 官公庁においては、「EAでは稼げない」ではなく、「EAで稼がない」と言ったところだろうか。

 余談となるが、官公庁における多くのEAプロジェクトは「省」を対象としているのではなく、「省」の一段下の組織である「部局」の業務・システムを対象としたEAプロジェクトだ。

 素朴に考えれば、官公庁の場合だとエンタープライズに相当するのは「省」であるので、エンタープライズという視点でEAが実施されているかどうかは意見が分かれるところかもしれない。(ちなみに経済産業省の場合でみると、「部局」もエンタープライズになりうるという定義はなされている)

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