「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」――HP、改めてLinuxを語るInterview(2/2 ページ)

» 2005年06月16日 20時12分 公開
[西尾泰三ITmedia]
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エフレイン 例えば、IBMはLinux関連でしばしばコメントを出しますが、OSSのサポートはOSに限定されています。JBOSSが成功してしまうとWebSphereの売り上げが立たなくなるかもしれません。DB2についても同様です。こうした事情があるためにOSSへのコミットがOSレベルにとどまってしまうのではないでしょうか。OSSとの競合製品を持たないHPとIBMの違いはここにあります。

 Dellについては箱売りのビジネスモデルで、そこにLinux戦略というべきものは特に見えないように思います。もちろんDellのビジネスモデルはすばらしいものではあると思いますが、UNIXからの移行を希望しているわたしたちの顧客を見ても、サーバそのものだけでは満足せず、周辺のサービス・ソリューションまで含めた選択をされることが多いです。そのため、Linuxに対する戦略を持つことは必須であると考えています。

 Sunについては……そうですね、Linuxに対する戦略が揺れている印象がありますね。

ITmedia HPがLinuxやOSSを語るとき、ビジネス的な観点でしか話をしていない気がします。例えばIBMは自社のソフトウェア特許500件をオープンソースコミュニティーに無償提供しました(関連記事参照)。これについてはさまざまな議論もありますが、その行為単体は評価されてもいいでしょう。翻ってHPはどうでしょう? こうしたことをあまりせず、淡々とビジネスシーンにおけるLinuxを語っている気がするのですが。

エフレイン なるほど。HPはその点では良くないと思います。というのは、HPはそのあたりをきちんと世間に伝えていないからです。HP&Open SourceのWebサイトはご存じですか? ここを見ていただければ分かるとおり、われわれも多くの知的所有権をコミュニティーに渡しています。IBMが自社のソフトウェア特許のいくつかをコミュニティーに提供したことはすばらしく、われわれとしても絶賛したいと思います。ただ、HPはそういったことを声高に言いはやさないのです。

 例えばGPLの話をすると、GPLが適用されているソフトウェア製品があり、そこに特許を侵害しているコードが混入していたなら、出荷を止める必要があるかもしれません。ではIBMが有する特許がコードに含まれていたとして、IBMが訴えるでしょうか? それはまったく無意味です。だからそうした特許をコミュニティーに寄贈したということを指して、わたしのボスであるマーティン(編集部注:HPのLinux担当副社長、マーティン・フィンク氏)は「それはすばらしいマーケティングの手法だね」と言ったのだと思います。

ITmedia HPはCEOがフィオリーナ氏からマーク・ハード氏になりました。また、日本HPも代表取締役社長が樋口氏から小田氏に変わるなど人事的な動きが多いですよね。ことLinux&OSS戦略に関してはドラスティックな変化はないと考えてよいのですか?

エフレイン 2年前から何も変わっていないし、これからも変わらないよ。わたし自身変わっていないでしょう?(笑い)



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