特集
» 2005年06月19日 03時36分 公開

現場から見るSEの「地力」:目的と要件の整理でアーキテクチャは見える (1/3)

教訓をどのように2次開発に生かしたか。(特集:顧客満足度ナンバーワンSEの条件)

[杉山正二(アールエスコンポーネンツ),ITmedia]

  杉山正二(アールエスコンポーネンツ 取締役)

 システム開発は、要件を満たせば、スピード、低工数、低リスク、適正コストを目指すのが当たり前の時代である。では、どのようにすれば良いのか? 皆さんが答えを求めている問いだろう。正解を示すことはできないが、こうすれば大失敗は防げる、という意味で、数多くの教訓を得ている。

 今回は、前回紹介した教訓を、どのように2次開発に生かしたかを説明するが、これはそのままアプリケーション開発のポイントにつながる。このようなポイントを押さえておけば、アプリケーション開発はほぼうまくいくはずである。

 まずは、前回の最大の失敗点を反省し、このシステムの目的(1. 製品の基本情報(特に国内で調達した製品)の維持管理、2. コールセンターが利用するための製品の付加情報(たとえば、代替品情報や販売終了予定情報)の維持管理と提供、3. カタログエラーの処理支援)を再確認した。

 幸いなことに、ベンダーの新しい責任者は、データベースの再設計を申し出てくれたぐらいだったので、私の考え方をよく理解してくれ、話はスムーズに進んだ。二人ともユーザーの話を鵜呑みにするのではなく、不要な機能は開発しない、ときっぱりと対応した上で、新機能や機能修正を設計することで合意し、二次開発を開始した。

教訓1(アプリケーションの目的を共有せよ)への対応

 この点は、今回ベンダーの責任者、システム部門のマネジャーがともに前回と交代し、私の考え方を十分理解してもらえたので、それほど苦労しなかった。あとは、ユーザーの担当者にどのように納得してもらうかが問題であった。しかしながら、責任者が交代して、信頼できると判断したら、後は拍子抜けするくらい良く協力してくれた。システム開発とは言っても、つくづく“人”と“コミュニケーション”の問題に行き着くことを実感させられた事例であった。

教訓2(簡単だと思っても、アーキテクチャはきちんと設計せよ)への対応

 この点に関しても、ベンダーの責任者がアプリケーションアーキテクチャの考え方をきちんと理解している人だったので、比較的容易にアーキテクチャの設計を進めることができた。具体的には、上記3つの目的を実現するために、次のようにそれぞれ別の設計思想で設計することにした。

・1. 製品の基本情報管理:この部分は、とにかくデータ設計とデータベース設計に注力する。データの入力や修正の機能は、基本的な機能に絞る。
・2. コールセンターが利用する情報の管理と提供:この部分は、1.の基本テーブル群に手を入れるのではなく、検索や表示に最適化した付加テーブル群を用意し、あくまでも検索の容易性やスピードを重視する。
・3. カタログエラーの処理支援:ここは、すべての機能をシステム上に実現しようとすると、とてつもなく複雑なものとなり、工数もコストも膨大になる。したがって、ユーザーと良く議論し、ある程度のマニュアル作業を残す方向で、シンプルな管理機能のみを実現することにした。
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