世界一でなければ売り飛ばす?――エリソン氏の豪華ヨット

Oracleのラリー・エリソン氏のプライベートヨットは現在世界最大。Microsoft共同創設者ポール・アレン氏のヨットよりも全長が12メートル長い。(IDG)

» 2005年06月22日 10時08分 公開
[IDG Japan]
IDG

 OracleはMicrosoftより小さな会社かもしれないが、Oracleのラリー・エリソンCEOは、自分のヨットがMicrosoftの共同創設者ポール・アレン氏のそれより大きいことだけは自慢できる。

 全長138メートルのエリソン氏の巨大ヨット、Rising Sun号は、昨年6月に進水し、プライベートヨットとしては世界最大。建造と船装に掛かった費用は2億7000万ドル以上と報じられている。

 Rising Sun号については公式な情報がほとんどない。情報の大半は、時折流れる報道記事と、世界中の巨大豪華ヨットの建造や動向を追うメガヨット愛好家らのWebサイトが出所となっている。

 分かっているのは、Rising Sun号が独ブレーメンのLurssen Yachtsによって建造され、LE120というプロジェクトとして秘密裏に誕生したということ。プロジェクト名の「LE」はエリソン氏のイニシャルを表しており、数字は、ヨットのもともとの全長を示したものだと広く考えられている。

 建造中にヨットの全長が18メートル伸びたことになるが、その理由ははっきりしない。一部には、Lurssenがポール・アレン氏のために建造中の別のヨット、Octopus号が126メートルなので、これより大きくしようと途中で全長を伸ばしたのだという見方がある。一方、プロジェクト名に120という数字を使ったのは、本当の長さをカムフラージュするためだったのではないかとの憶測もある。

 真相はさておき、エリソン氏は、ライバルを前にひるむような人物とは考えられていない。

 人生に関することが往々にしてそうであるように、メガヨットも、大きさがすべてではない。ヨットで何をするかも重要だ。

 Rising Sun号は現在、Louis Vuitton Act 4に出場するためスペインのバレンシアに停泊中。Louis Vuitton Act 4は、2007年のAmerica's Cupで前回優勝チームのAlinghiに挑戦するチームを決めるための一連のレースの1つ。エリソン氏が2000年に結成したチーム、BMW Oracle RacingもAlinghiへの挑戦をもくろんでいる。

 Rising Sun号が、バレンシア滞在中のエリソン氏にとって、心地よく宿泊でき楽しめる場となることは間違いない。Independent紙によると、このヨットの内装は船というより宮殿のそれに近く、5フロア82部屋ある。

 Rising Sun号のメインルームの天井高は5メートルで、プライベートバルコニーとジャグジー付きバスルームがあって、パノラマのオーシャンビューを楽しめる。ほかにもクルミ材の壁のバー、映写室、ジム、バスケットボールコート、室内プール、4輪駆動のジープを陸に運ぶための上陸用双胴船などが備わっている。

 アレン氏のOctopus号にも似たような“おもちゃ”が装備されている。ヘリコプターの格納庫や録音スタジオ、水中ハッチから出入りする1人乗り潜水艇などだ。

 Rising Sun号が世界最大のプライベートヨットでいられる日はそう長くない。現状、Project Platinumと呼ばれている160メートルのヨットが、今年4月、ドバイで進水し、完成間近だ。

 Rising Sun号が世界最大のプライベートヨットの座から降りる日が近づく中、エリソン氏がこのヨットを売りに出したとのうわさも流れている。同氏がProject Platinumよりさらに大きなヨットを造ろうと決意するかどうかは、まだ分からない。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ