金融機関が考える「オープンプラットフォームで留意すべき点」(2/2 ページ)

» 2005年06月23日 02時41分 公開
[西尾泰三,ITmedia]
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オープン化を進める上での留意点

 そうしたオープン化を進める上での留意点としては、まずシステム基盤は統一的に管理・実装すること。そして集中と分散の使い分けであるという。後者については、集中させると効率性は向上するが、その分危険性が増大するため、それ相応の実力が求められるのだという。こうした集中と分散は進歩しながら繰り返されるものであり、自社に適合する技術の見極めが必要であると話す。

 そうした留意点を踏まえた上での具体的な取り組みとして、オープンプラットフォームの基盤担当を集約した体制作りのほか、ITスタンダードの展開などが挙げられる。ITスタンダードは同行の前身の1つである三和銀行が有するノウハウを基にして独自に策定したシステムの標準化規定で、分散系システムを設計・構築する際の基本ドキュメントと言ってよいだろう。各種テクノロジーの適用分野をはじめ、システムの運用手法、満たすべき信頼性などの指針がEA(Enterprise Architecture)としてまとめられているという。

ITスタンダード ITスタンダードの一例。SQLのコーディングなどについても細かく規定されているという

 加えて、そうした規定が順守されていることをチェックする仕組みを用意することで、システムの信頼性・品質が向上したほか、設計やテストにかかる工数の削減が図られたため、結果、コストや開発期間の短縮につながったという。実際、オープンプラットフォームに移行するための期間は以下のようなプロセスだったとしている。


 オープンプラットフォームの適応効果については、LinuxとIAサーバの組み合わせはUNIXと比較して、コストで2分の1、性能は2倍優位との検証結果だったという。これは価格性能比で考えれば4倍となる。

 「UFJISはダブルスタンダードを採用している。サーバであればEgeneraと日立のブレードサーバを、DBではOracleとHiRDBといったように。VA Questについても例外ではなく、もう1社に障害解析をお願いしている」(蒲原氏)

 そして現在Linuxに特に求められるのは信頼性の部分だという。例えば障害解析機能。メモリダンプを取得するためLKCDやLKSTはディストリビューターに依存している状況だが、これはLinuxが標準で実装すべき機能であると指摘する。同様に、商用UNIXで実現している機能、プロセッサやメモリの障害時に動的にそれらを切り離す機構なども実装すべきであると話す。そして、こうした部分が現状で欠けているからこそ、VA Linuxの「VA Quest」には助けられている部分が多いと付け加える。

「システムの中にこそ事実はある。そこから目を背けて別の解を求めても問題の本質は解決しない。事実を見て仕事をするべき」(蒲原氏)

 同氏は、オープンシステムの信頼性はいまだ発展途上ではあるが、メインフレームも最初は不完全だったことや、新技術もユーザーの活用によって改良されていくものであることを指摘。ベンダーの努力だけでなく、ユーザーも一緒となってそれを推進していくことが重要であると述べた。

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