Sunが語るOpenSolarisとオープンソース・コミュニティーの本質Interview(1/2 ページ)

OpenSolaris.orgが開設され、OpenSolaris Projectはいよいよ本格的に活動を開始した。SunのOpenSolaris担当者にOpenSolarisの意義、そしてコミュニティーに対する考え方を聞いた。

» 2005年06月30日 16時20分 公開
[渡邉利和, 西尾泰三,ITmedia]

 6月14日にOpenSolaris Projectが正式に発足したことを受け、Sun MicrosystemsでOpenSolarisを担当するクレア・ジョルダーノ(Claire Giordano)氏とステファン・ハープスター(Stephen Harpster)氏が来日した。両者に、OpenSolarisについて聞いた。

クレア・ジョルダーノ氏 SunのOpenSolarisマーケティング担当マネージャー、クレア・ジョルダーノ氏

ITmedia とうとうOpenSolarisが本格的に動き出しましたね。

クレア 6月14日がOpenSolarisの「オープニングデイ」でした。この日、われわれはOpenSolaris.orgをオープンし、「コアOS」「ネットワーク・スタック」「ライブラリ」「コマンド」のソースコードを公開しました。

 OpenSolarisはシングルソースのシステムなので、ここにはSPARC用/x86用の両方のコードが含まれます。また、OpenSolarisにはSolaris 10で実装されたさまざまな先進機能のソース、具体的には、DTrace、Solarisコンテナ、予測的セルフヒーリングなどが含まれます。

 なお、OpenSolarisは今年初めにリリースされたSolaris10よりも新しいバージョンとなっています。Solaris 10がリリースされてからOpenSolarisが公開されるまで5カ月ほどの期間がありましたが、この間にSolaris 10に加えられた改良や修正の成果がOpenSolarisに取り込まれているためです。

ITmedia すべてのコードが公開されたのですか?

クレア ほとんどすべてのコードが公開されましたが、法的なレビューが完了していないなどの理由から、まだ公開されていないものも一部残っています。例えば、一部の管理ユーティリティやインストール・ユーティリティ、ネットワーク・ストレージのドライバ、manページなどです。これらのコードの公開スケジュールは、Webサイトでロードマップを公開しています。

ステファン氏

ステファン また、Solaris 10の機能として発表済みの機能のうち、現時点ではまだ実装されていないものがいくつかあります。大きなものとしては、128ビット・ファイルシステムであるZFSや、Linuxバイナリの実行環境であるProject Janusなどです。これらは、今後提供されるSolaris 10のアップデート・リリースに含まれていくと同時に、OpenSolarisに対しても提供されます。

 なお、Project Janusに関しては、名称がLinux Application Environment(LAE)に変更されています。開発は現在でも継続されていますが、要素技術としてはプロトタイプ段階のものとは若干異なるものが使われています。ただし、機能面ではプロトタイプと同じものを実現する予定です。

OpenSolarisプロジェクトで最も重要なポイント

ITmedia OpenSolarisプロジェクトで重要なポイントはどこになりますか。

クレア このプロジェクトの中核となるのは、共同開発のためのコミュニティーWebサイトです。Solarisをオープンソース化した最大の目的は、開発者との関わりを深めていくことです。われわれは、コミュニティーのコミュニケーションは、開発者を引きつける「磁石」のように作用すると信じています。また、OpenSolarisが次世代の技術革新のプラットフォームとなることや、Solarisに含まれる技術を学んだ開発者が増えることで、彼らがSolaris上にさまざまなアプリケーションやツールなどの成果を積み上げていくことを期待しています。

 Solarisをオープンソース化することで、SunやSunのパートナー企業にとっては、オープンソースを軸にさまざまなプロジェクトに参加できるというメリットもあります。たとえば、他の企業がこの技術を活用し、自社製品に組み込む道も開けましたし、顧客の中には「オープンソース・ソフトウェアを使うこと」という条件を課せられている政府関係や大学関係の顧客や、スタートアップ企業など、オープンソース・ソフトウェアを必要としている顧客もいます。そうしたシステムにサン製品を導入してもらう、あるいは、少なくとも検討候補に加えてもらうためには、オープンソース化が大きな意味を持ちます。具体的には、カナダ政府がそうした状況にあります。同時に、Solarisの「エコ・システム」が拡大すると期待されます。

ITmedia Linux開発者がOpenSolarisプロジェクトに参加する意義は?

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