第1回 ビジネスとITを結びつけるITILを深める サービスデリバリ編(2/2 ページ)

» 2005年07月04日 00時00分 公開
[インフォリスクマネージ,ITmedia]
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 また、Mosaicの登場以降、インターネットのビジネスへの侵食が加速度を増してきたことも、運用の品質が問われるようになってきた原因といえる。TCP/IPをベースとしたインターネットテクノロジーが技術の中心となり、基幹系システムにすらオープンソースソフトウェアを使い始めている。外部ネットワークと接続した無防備なオープンソースは、ハッカーやクラッカーの格好の対象となることは誰もが想像していたが、その発生の可能性の高さとビジネスへのインパクトは想像の域を超えていたかもしれない。

 運用管理者は、日々リリースされるセキュリティパッチを適用しなければならず、オープン化され複数のメーカーのソフトウェアが混在するシステムや、瑕疵責任の存在しないオープンソースソフトウェアが組み合わされたシステムは、パッチ適用後に頻発するアプリケーション不具合に頭を悩まされる。

 これらの状況により、システム運用は従来のルーチンワークという考えから、より高度な技術と堅牢なプロセスが要求され、同時にITが事業に対する要求にいかに対応していくかがITサービスマネジメントにおいて最も重要なファクターと位置付けられたのである。

 ITサービスマネジメントのデファクトスタンダードとなりつつあるITILは、大きく「サービスサポート」と「サービスデリバリ」の2要素により構成されている。本連載では、事業がどのようなITサービスを要求するかに焦点を当てている「サービスデリバリ」を中心に解説していく。

 サービスデリバリは次の5つのプロセスで構成されている。

プロセス 概要
サービスレベル管理 顧客の事業目標が達成できるように、サービスレベルに関する合意、監視、報告の継続的なサイクルを通して、ITサービスの品質を維持し改善するプロセス
ITサービス財務管理 ITサービスを供給するために使用される、IT資産と資源を経済的に管理するプロセス
キャパシティ管理 必要とするIT技術とサービス設備が、必須で合意されたビジネススケジュール内に回復できることを保証し、ビジネスコンティンジェンシープラン全体をサポートするプロセス
インシデント管理 サービスの品質を阻害する事象に対して、迅速に元のサービスレベル(もしくはそれに近いレベル)まで回復させるプロセス
ITサービス継続性管理 必要とするIT技術とサービス設備が、必須で合意されたビジネススケジュール内に回復できることを保証し、ビジネスコンティンジェンシープラン(BCP)全体をサポートするプロセス
可用性管理 ビジネスの目標を満足させることができる経済的で維持可能な可用性を供給するため、ITインフラストラクチャ、サービス、サポート組織の能力を最大限活用するプロセス

 これらはベストプラクティスとして具体的に詳細化されたプロセスであり、相互に密接に関連して構成されている点が大きな特徴となってくる。次回からは、このプロセスに沿って説明していきたい。

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