コラム
» 2005年07月04日 00時00分 公開

悲劇は喜劇より偉大か?:実録 ITインフラ複雑化の悲劇

IT導入は業務効率向上を目的としている。なのに、結果的にITに振り回されることはよくある話し。あるシステム管理者は気付いた。「最終的には人が管理するものである」。少し遅かったようだが……。

[若葉田町,ITmedia]

 世の中の仕組みが高度化するのに合わせ、ITインフラも複雑化の一途をたどる。本来IT導入は業務効率向上を目的としているはずなのに、結果的にITに振り回されるということはよくある話しである。ITインフラの複雑化によって、システム管理者に悲劇がおとずれているのも事実だ。

経営陣からの指令

 わが社のITインフラはこれまでは誰が見ても理解できるくらいシンプルであった。そういう意味では、システム管理者としてとてもメンテナンスがしやすいもので、現状に特に不満はなかった。だが、近年システムに関連するセキュリティ上の脆弱性に関するニュースが巷にあふれるようになり、ついにわが社でも経営陣から

「セキュリティを向上せよ」

との指令が下った。

 鶴の一声の下、最近のセキュリティトレンドを参考に、ありとあらゆるセキュリティ向上のためのITインフラを導入することになった。トレンドを押さえておけば予算取得がそんな難しくない状況であったのをいいことに、ファイアウォール、侵入検知システム、認証スイッチ、指紋認証、データ暗号化システム等々、当時考えられ得るセキュリティトレンドを漏れなく導入するという贅沢なプロジェクトになった。

 多くのことを盛り込んだセキュリティプロジェクトはとても大変であったが、頑張ってついに本稼動を向かえた。しかしインフラ構築は地味なものである。外見上、何の変化もないので社内から特に反応があるわけでなく、やりがいと同時にむなしさが残っていた……。

トラブル発生

 多くのことを盛り込んだプロジェクトであったので、当然のようにトラブルが発生した。当初、日常運用についてはベンダーの保守に入っていたため、何かあっても何とかなるとの甘い考えがあった。しかし実際は、基本インフラのトラブルにベンダーの対応を待っていられるほどのんびりしていられるはずもない。唯一プロジェクト全体を熟知している自分しか、障害切り分けをできる人間が社内におらず、結局、自分自身で問題を解決せざるを得なくなった。このころ、今回のセキュリティプロジェクトが自分自身の首をしめる結果となったことに気付き始めた。

オペレーションを引き継ごうにも

 そこで、少しでも自分自身の負担を軽減すべく、日常業務を引き継ぐために新入社員の教育に入ったものの、ただでさえ複雑化したITインフラに新入社員はついて行けなかった。複雑化したITインフラはそれなりに優秀なスタッフでないと管理できないものとなっていたのだ。

 優秀な社員はそう簡単にみつかるものではない。私はこの瞬間、このITインフラ管理とは退社するまで逃れられないことを悟った。

教訓

 ITインフラは構築するのは簡単だが運用し続けるのはとても難しい。流行の高度な技術を導入するのも構わないが、誰がどうやって運用するのか、を押さえておかないと苦労するのは自分自身である。ITインフラは最終的には人が管理するものであることをよく意識しておくべきである。

若葉田町


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