HPはさらに厳しい決断を避けて通れない

つい先日、1万4500人のレイオフと組織再編を発表したHP。新たな成長や競争力強化を目指すならば、ハードCEOはさらに厳しい決断を迫られることになるだろう。

» 2005年07月21日 21時27分 公開
[Eric Lundquist,eWEEK]
eWEEK

 のんびりとしたカリフォルニアの技術コミュニティー、そしてHewlett-Packardの株主たちは、カーリー以上にカーリー的な指導者を受け入れられるだろうか。

 Hewlett-Packardの新CEOマーク・ハード氏は7月19日、電話会見を通じて、1万4500人の人員削減、ならびに同社を3つの主要グループに再編する計画を発表した。同氏はその中で、HPの幅広い製品ラインを縮小することなく、既存の市場セグメントにおけるHPの業務効率の改善に注力するという方針を明らかにした。

 解任されたカーリー・フィオリーナ前CEOの在任中、HPはコンシューマー市場、企業市場およびサービス分野へと製品ラインを拡大した。この路線に対し、HPほどの規模の企業でさえも、ソニーとDellとIBMの3社を合わせたような企業になるのは難しいという批判があった。

 フィオリーナ氏は、コンシューマー製品などの分野で学んだノウハウを企業向けビジネスに適用することによって、高い効率を達成することが可能だとしていた。フィオリーナ氏は在職中、プリンタ事業とPC事業の統合など数々の事業部門の連携を進めた。

 ハード氏が最初に手がけたのは、プリンタ部門とPC部門を切り離すことにより、これらの事業の見通しを良くすることだった。

 企業再編で生まれる3つの主要事業部門は、テクノロジーソリューショングループ、イメージング/プリンティンググループ、そしてパーソナルシステムグループである。

 ハード氏が打ち出した第2の(そして今のところ最も奏功している)重要な手だては、Dellのランディ・モットCIO(最高情報責任者)を雇い入れたことだ。モット氏はWal-Martの元CIOでもあった。

 1530万ドルという報酬でモット氏を雇用したことは、ハード氏がデータ分析/追跡手法を競争のための武器として利用する方針であることを示している。HPの幹部らは昨年、サプライチェーン業務の統合がうまくいかなかったためにコンピュータの出荷に遅れが生じたと発表して公衆の面前で恥をさらした(関連記事)

 DellとWal-Mart(どちらもNCRのTeradataシステムのヘビーユーザーである)は、サプライチェーン管理を得意とし、豊富なノウハウを持っていることで知られる。しかしこの種のデータを蓄積・統合することによって結果が現れるまでには、時間と経費の両面で大きな初期投資が必要となる。

 指標を重視するデータ志向の企業を目指すHPにとって問題は、業績重視型の経営、営業、生産をもってしても競争力強化につながらなかったらどうするのか、ということだ。

 人員削減(全従業員の約10%に相当)や退職手当制度の変更、カスタマーソリューショングループの解散といった厳しい措置が必要だったにせよ、これらの対策は新たな成長を促進するものではない。

 プリンタ事業、PC事業そしてサービスという3つの分野すべてにおいて、新たな競争相手が出現しつつある。加えて、企業バイヤーらは、IT予算から最大限の効果を得ることに関して、以前よりも遙かに賢くなっている。

 ハード氏は1年もたたないうちに、どのビジネスをHPに残し、どのビジネスを子会社として切り離すか、あるいは他社に養子に出すかを決めるという、一層厳しい決断を迫られるのだろうか。筆者はそうなると思っている。

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