Ottawa Linux Symposium 4日目リポート(2/5 ページ)

» 2005年07月29日 01時48分 公開
[David-'cdlu'-Graham,japan.linux.com]

インターネットは満員札止め

 NPTLについての発表――実際には、ここに紹介したよりも遥かに詳細なものだった――の次は、慶應義塾大学の吉藤英明氏とUSAGIプロジェクトによる「LinuxはIPv6へ」と題する講演を聞いた。

 1980年代半ばには既にIPv4のアドレス空間は満杯だったと、IPv6の歴史を振り返りつつ吉藤氏は語る。IPv4の持つアドレス空間の限界――40億を少し上回るアドレスが可能――を回避する道を探っていたIETF(Internet Engineering Task Force)はIPNGという概念を作り出した。すなわち、Internet Protocol: Next Generationである。これは、後にIPv6として知られることになる。

 1995年12月にRFC 1883として仕様が公開され、IPv6が誕生する。

 IPv6がIPv4を凌ぐ点は幾つかあるが、その1つは長さ、128ビットという長さである。単純計算すれば、アドレス空間に含まれるIPアドレスは340,282,366,920,938,463,463,374,607,431,768,211,456個(およそ3.403×1038、化学用語で言えば5.7×1014モル)。32ビットの現行IPアドレスは世界の人口よりも数が少なかったが、IPv6なら枯渇する心配はしなくてもよさそうだ。

 さらに、IPSecというセキュリティ機能や移動性をも備え、ルーティング・アーキテクチャも単純化されている。したがって、IPv6では、IPアドレスが経路に制約されることはない。

 LinuxカーネルがIPv6をサポートしたのは2.1開発ツリーからで、1996年のことである。このときは、まだ、モバイルIPv6にもIPSecにも対応していない。

 2000年に、Linux IPv6の開発を目指して、Universal Playground for IPv6(USAGI)プロジェクトが発足し、IPSecをLinux IPv6実装に組み込んだ。当初は、FreeS/WANプロジェクトに基づいていた。

 2003年9月、USAGIは、LinuxのIPv6サポートについてipv6ready.org認定プログラムのBasic試験に着手した。2005年2月、Linuxカーネル2.6.11rc-2がAdvanced試験に合格し、IPv6の認定を受けた。これ以降の各バージョンも認定試験に合格する必要があるが、問題はないと思われる。

 吉藤氏が発表に使ったスライドは、まもなく、オンラインで公開される。

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