「弁護士を生む場」を目指すフリーソフト法律センター

Software Freedom Law Centerは「法務サービスと弁護士の2つのプロデューサー」として、優れたソフトウェア弁護士の育成を目指す。(IDG)

» 2005年08月05日 14時57分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Software Freedom Law Center会長は、この組織が米国そして世界各国で才能ある法律専門家を生み出す場所として機能すると期待している。

 1月以来、このセンターの小さなチームは法律事務所を立ち上げながら業務を行ってきたと同センター会長でコロンビア大学ロースクール教授のエベン・モグレン氏。ニューヨーク事務所を設置した今、モグレン氏はもっと多くの依頼人を獲得し、新しいスタッフを雇うことを目指している。同氏はこのセンターの将来に大きな期待をかけている。

 「われわれは法務サービスと弁護士の2つのプロデューサーだ」と同氏。独立するのであれ、ソフト関連法を専門とする法律事務所に勤めるのであれ、「このセンターが弁護士になる人のための場になると期待している」。

 同センターの計画は初め1月に発表された。世界中で非営利のオープンソースプロジェクト・開発者に無料の法務サービスを提供することを使命としている。

 今のところ同センターはFree Software Foundation(FSF)、X.Org、Plone、Wineなど8〜9の依頼人を抱えており、これら依頼人のために十数のプロジェクトに取り組んでいるとモグレン氏。「われわれの仕事は主に依頼人へのカウンセリングとアドバイスだ。訴訟の仕事はわずかだ」

 このセンターはインディアナでダニエル・ウォレス氏が複数のベンダーを相手取って起こした訴訟で、IBM、Novell、Red Hatと協力したという。ウォレス氏は、被告企業が共謀して著作権ライセンスの枠組みの中でGPLライセンスを利用し、ソフトの価格をゼロにしたと訴えていた。

 モグレン氏は、依頼人の数は来年には2倍になると見込んでいる。Software Freedom Law Centerは現在2人のフルタイムの弁護士を雇っているが、8月15日には初の下級弁護士が加わる。向こう数カ月以内にもう1人弁護士を雇う予定だという。モグレン氏とそのチームはさらに、今年ロースクールを卒業した後に入社する弁護士を2人募集している。「向こう5〜8カ月で弁護士が2人から6人になる」

 また同センターは、間もなく初の米国以外のメンバーとして、ドイツ人弁護士のアクセル・メッガー氏を迎える。メッガー氏は同センターの事務所でフェローシップを受ける。メッガー氏はドイツでGPLの施行に取り組んできた。モグレン氏は既に、将来の国際フェローシップに向けてほかの米国外の弁護士を探しており、特にコロンビア大学で法律を勉強する学生に声をかけるという。

 モグレン氏は、このセンターで自身がやりたいことを、有名なジャズミュージシャンのアート・ブレイキーがJazz Messengersバンドで成し遂げたことにたとえている。ブレイキーはMessengersを絶え間なく変わる音楽共同体として確立し、そこで若いミュージシャンの面倒を見た。それこそが、モグレン氏が若い弁護士の育成においてやりたいことだ。

 「このセンターを優れたソフトウェア弁護士が生まれる場所にしたい」(同氏)

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