住所、社名を名寄せ、オラクルが「Data Hub」で提供

複数のシステムごとにばらばらに存在するさまざまな顧客情報を統合し、1つの情報に集約するためのツールを日本オラクルとジャスミンソフトが提供する。

» 2005年08月08日 21時21分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 日本オラクルは8月8日、沖縄・うるま市に本社があるソフトベンダー、ジャスミンソフトと提携し、オラクルの「Oracle Customer Data Hub」とジャスミンソフトの「住所正規化コンバータ」を組み合わせた新機能を提供すると発表した。

 Customer Data Hubについては、6月にも帝国データバンクと提携を発表している。日本企業が管理する顧客基盤を活用するためには“日本標準”の機能搭載が不可欠と判断し、パートナー企業との連携を進めている。

中山氏 日本オラクルのアプリケーションソリューション本部 シニアソリューションコンサルタント 中山厚紀氏

 Customer Data Hubはオラクルの「E-Business Suite」や他社のERPパッケージ、CRMなどが持つ顧客情報を1つの基盤上に統合し、再利用可能にするミドルウェア。Oracle Database上で稼働し、「Oracle Application Server 10g Integration」がさまざまなシステムの顧客情報を収集する。

 日本オラクルのアプリケーションソリューション本部 シニアソリューションコンサルタント 中山厚紀氏は「複数システムに分散する顧客情報を統合し、全体として見られるようにする」と説明した。

 ただ、顧客情報を統合するだけでは、再利用は難しい。住所や企業名などシステムごとに入力ルールが異なることが多く、同じ企業なのに1つの情報に集約できない“名寄せ”の問題があるからだ。名寄せができないことで、その企業のデータを正しく判断できずに、与信管理がうまくいかない、取引情報を把握できないなどの問題がでる。

 日本オラクルと提携したジャスミンソフトは、同社が2年前から販売する住所正規化コンバータを、「住所正規化コンバータ for Oracle」として同日リリースした。住所正規化コンバータ for Oracleは日本郵政公社が定めた住所表記に基づき、顧客情報の表記を統一するソフトウェア。市町村合併などにも対応し、システムごとに表記が異なる同一住所の表記を統一する。

 新たにCustomer Data Hub用のXML標準インターフェイスを開発した。住所正規化コンバータ for Oracleの価格は1CPU当たり8万円。保守料が年間1万6800円。

 日本オラクルは帝国データバンクとも6月15日に提携した。全国124万社のデータを納めた帝国データバンクの企業情報ファイル「COSMOS2」と、Customer Data Hubが連携できるようにした。COSMOS2が持つ企業名のファイルを使って、顧客情報の企業名を統一できる。名寄せや与信管理にも利用可能。日本オラクルは帝国データバンクと営業面でも協力する。帝国データバンクの顧客から80社を選定し、Customer Data Hubと組み合わせた利用法を提案する。

 顧客基盤の統合については、SAPジャパンがSAPのアプリケーションやほかのシステムのマスターデータを集約する「SAP NetWeaver MDM(Master Data Management)」を6月30日に出荷した。

 日本オラクル、SAPジャパンとも「サービス指向アーキテクチャ」(SOA)への移行を急いでいるが、SOA環境にするには複数システムの情報を統合することが重要。Customer Data Hub、SAP NetWeaver MDMの拡販で、両社はそれぞれSOA移行への下準備を進める考えだ。

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