「独自ライセンスを捨ててGNU GPLを採用すれば、HPのノートPCをあげる」。HP幹部はLinuxWorldでIBMとSunにこう呼びかけ、聴衆の笑いを誘った。(IDG)
Hewlett-Packard(HP)幹部は8月9日、さまざまなオープンソースライセンスが増えていることを非難し、IBMとSun Microsystemsに独自ライセンスを捨ててGNU GPLを支持するよう呼びかけた。
あまりに多くの種類のオープンソースライセンスが存在すれば、相互運用性の問題を引き起こす恐れがあると、HP NonStop Enterprise部門およびオープンソース・Linux部門副社長兼ジェネラルマネジャー、マーティン・フィンク氏はLinuxWorld Conference & Expoでの講演で語った。
同氏はIBMにIBM Public Licenseを捨ててGPLを採用するよう求め、その見返りとして、アービング・ウラドウスキー−バーガー副社長を含むIBM幹部にHPのLinuxノートPCを提供すると約束した。
「(Sunの会長兼CEO)スコット・マクニーリー氏と(社長兼COO(最高執行責任者)の)ジョナサン・シュワルツ氏に、CDDL(Common Development and Distribution License)を捨て、Solaris 10をGPLの下でライセンスし直すよう頼みたい」とフィンク氏は語り、聴衆の喝采を浴びた。
「ジョナサンとスコットにもHPのノートPCをあげるつもりだが、それにはWindowsをプリインストールしておく」とのフィンク氏の発言に、聴衆は笑い声を上げた。
オープンソースライセンスの重要性を強調すると同時に、フィンク氏はあまりに多くの種類のライセンスが存在すれば、非互換が生じる恐れがあると警鐘を鳴らした。「これまで、オープンソースを自称できるライセンスの数は増えてきた。これはもともとは、オープンソース運動を拡大するために行われていた」
同氏は、Intelが独自のオープンソースライセンスに重点を置かないという決定を下し、Open Source Initiative(OSI)がライセンス増加に歯止めをかけるルールを施行したことを挙げた。
電子メールでの回答で、Sunの担当者はHPを非難している。
「HPはオープンソースコミュニティーの辺境から狙撃するよりも、Sunを営利企業の中で最もコードを寄贈している企業の座から引きずり下ろす努力をした方がいいだろう。もしもそうなったら、フィンク氏は、あらゆるくぎを打つのに適した1つのハンマーがあるわけではなく、すべてのプロジェクトに適した1つのライセンスがあるわけではないということを理解するだろう」とSunの広報担当ラス・カストロノボ氏は声明文の中で述べている。
IBMからは本稿掲載時までに回答を得ることができなかった。
LinuxWorld来場者はこの問題に関するフィンク氏の発言を支持した。
「わたしも賛成だ」とEli LillyのUNIXシステム管理者、マイケル・コールマイヤー氏。「ライセンスがもっとシンプルになったらいいと思う」
SunがGPLを採用すれば、もっと多くの人がSolarisにコードを寄贈するだろうと同氏は言う。だが同氏は、「GPLに影響されるものはすべてGPLの下で提供されなくてはならない」という条件が一部で懸念を呼んでいることを認めた。Sunはこの問題への対処法を見出す必要があるとも同氏は語った。
フィンク氏はまた、GPLに改善が必要なことも認めた。「GPLは完ぺきではないが、今の形で15年間通用してきたライセンスだ」
フィンク氏は講演の間、HPは大学と協力して継続的な可用性、無限のスケーラビリティ、データの完全性をLinuxカーネルに統合すると話した。また1892〜1924年にニューヨーク港にたどり着いた移民に関する情報を提供するエリス島WebサイトのようなプロジェクトでLinuxが採用されていることにも触れた。
特殊効果を多用するプレゼンテーションのためのReactrix Interactive Media Systemsの技術のデモも行われた。同社はオープンソース技術を採用している。
フィンク氏は、オープンソースは今やLinuxだけを意味するものではないと強調した。
「今はもうLinuxだけに関するものではない。これはオープンソースに関わるものだ」(同氏)
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