LinuxWorldで語られるMSのオープンソース研究所

Microsoft幹部がLinuxWorldで行ったセッションでは、同社のレドモンド本社にあるLinux・オープンソースソフト研究所の仕事が幾らか明かされた。

» 2005年08月11日 16時27分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftは相互運用性に力を入れ、企業顧客やオープンソースソフトコミュニティーと協力している――同社がこう説得しようとしている中で、同社プラットフォーム技術ディレクターのビル・ヒフ氏は、LinuxWorld Conference & Expoでレドモンド本社のLinux・オープンソースソフト研究所に触れたセッションを行った。

 「Microsoftでの(?)混在環境におけるLinux管理。MicrosoftのLinux・オープンソースソフト研究所をのぞく」と題されたセッションで、ヒフ氏は100人を超える聴衆に向けて、自分はLinuxとオープンソースの資格を持ち、Microsoftに入社する前はeToysとIBMでオープンソースソフトに携わっていたと語った。

 「わたしの役目はLinuxを滅ぼすことではないこの役目は当社とその顧客、オープンソースコミュニティーにとって極めて重要で客観的なものとなる」(同氏)

 ヒフ氏とそのチームは、4人の常設プログラムマネジャーと、4〜6の交代制の契約業者で構成される。彼らは、Microsoftのさまざまな製品部門がオープンソースソフトとそれに関するモデルを理解する手助けをしている。

 「オープンソースソフトに関する技術的な状況を理解することは、われわれのチームが製品の改良を推進する上で役に立つと考えている」(ヒフ氏)

 同氏のチームにはGentoo Linux創設者のダニエル・ロビンズ氏のほか、Linux、UNIX、オープンソースソフトに深く通じた人物が参加している。

 「われわれのチームのほとんどは何らかの形で混在環境に取り組んだ経験がある。彼らは非常に頑固で批判的であり、わたしはそういうところが好きだ」(ヒフ氏)

 Microsoftのオープンソース研究所では、Linuxとオープンソースソフトで作業やシナリオを実行しており、300台以上のサーバとクライアントシステムを走らせている。

 この研究所は基本的に一から作られたものだ。ハード・ソフトともに多数の非Microsoft技術を動かしているため、たくさんの問題が生じている。

 この点を強調するために、ヒフ氏は研究所で使われているOSとソフトを列挙したスライドを見せた。それにはLinux、UNIX、Windowsのさまざまなバージョンと、Ganglia、Karamba、Xenなどのオープンソースソフトが含まれていた。

 ヒフ氏の研究チームは、Microsoftの製品部門や顧客の役に立つかもしれないソフトも探した。

 その一例が、効果的で効率的なテストツールのSamba Torture(smbtorture)だ。Microsoftはこれを一部の自社製品のテストに利用することを決めた。

 「そうしている間に、われわれは(smbtortureの)バグを見つけた。それをフィードバックしたところ、そのバグは修正された。双方向の関係とやり取りが必要だ。われわれは皆、話すばかりでなく耳を傾けなくてはならない」(ヒフ氏)

 Microsoftのオープンソース研究所で利用できるクロスプラットフォーム管理技術について、ヒフ氏は、NovellのRed Carpet技術、Kickstart、Vintela Management Extensions、MicrosoftのSystem Management Server(SMS)を挙げた。

 同氏がSMSを管理に利用しているかと聴衆に聞いたところ、数人が手を挙げた。彼らに向かって「バッジを隠した方がいいよ」と同氏は冗談を言った。

 同氏のチームはまたVirtual PCイメージとVirtual Server 2005も利用し、来場者にMicrosoft Virtual Server Enterprise Edition完全版(同氏によると1000ドルの価値がある)とWindows Server 2003の180日試用版を配布した。

 デスクトップに関しては、ヒフ氏は、最新Linuxデスクトップアプリケーションを構成する場合、しばしばアプリケーション内部で構成しなければならないことになると語った。

 「これらのアプリケーションを統一的な方法で構成するものを考え出した人はいない」と同氏は語り、同氏はLinuxデスクトップを何年も使っているため、「批判する資格がある」と付け加えた。

 MicrosoftパートナーのCentrify DirectControlを解決策として提案するまでは、Active DirectoryをLinuxと連係させることは非常に複雑な作業だったと同氏。

 同氏はまた、年内にリリースされるWindows Server R2について、「Win32サブシステムと同じレベルに置かれるUNIXアプリケーションの完全なサブシステムなど、UNIXとの互換性が前進している」と語った。

 「伝えたいのは、われわれにとってこれはOSの一部であり、われわれが提供するものの重要な部分だということだ。これはアプリケーションを新しいプラットフォームに移行しようと考えている人にとって強力なツールだ」(同氏)

 MicrosoftのMonad技術――UNIX・Linuxプログラマーが好み、精通しているスクリプティングシェルの代替――に関して、ただのempty shell(空の殻)ではないとヒフ氏は冗談を言ったが、これはカバレッジにむらがあり、一貫性がなく弱いコマンドシェルが理由で開発された。

 MonadはWindows XPで動作し、.NET Framework 2.0を走らせる必要がある。

 Monadは既報の通りWindows Vistaから削除されており、報じられているようなこれを悪用するウイルスは書かれていないとヒフ氏は主張した。

 「むしろ、書かれたのはテキスト情報を修正する方法だ。これを実行すると、システムに悪影響が出るだろう。しかし、これはウイルスではなかった」(同氏)

 Monadは別の技術の中で提供され、最終的にはWindows Vistaに組み込まれると同氏は話した。

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