OSDLのCEOに聞く――レイオフ、Bitkeeper、SCO(2/2 ページ)

» 2005年08月11日 20時12分 公開
[Jay-Lyman,japan.linux.com]
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Linuxを世界中に

 コーエン氏によれば、Linuxとオープンソースを望む地域はさまざまあるが、OSDLにとって最大とも言える課題の1つは、課題と機会が地域ごとに異なることだという。米国では、Linuxの普及を促しているのは主として価格性能比だが、政府はLinuxに対して「曖昧な」態度を取っている。欧州では、政府および政府機関が政策にオープンソースを取り上げるなど積極的な役割を果たしており、さらに社会的・文化的団体からの支援もある。アジア、特に中国・インド・日本では、価格性能比という面だけでなく、経済発展の鍵としてオープンソースの開発に力を入れているという。

 「彼らは経済発展への絶好の機会として見ています。ソフトウェアを開発する仕事が創出され、政府が一部出資し支援する企業でその国の人々がコードを開発します。ですから、その国の人々が使えるソフトウェアが生まれてきます」

 開発途上の国や地域では、Linuxやオープンソース・ソフトウェアを使って、初めてコンピュータを持つ人のための、また教育用の安価な入門用プラットフォームを提供しているとも述べた。

OSDLはセンターを目指す

 オープンソース・ソフトウェアがそれほどに良いものなら、OSDLのような団体がなぜ必要なのだろうか。コーエン氏は「Linuxとオープンソースの重心」――コーエン氏がOSDLの舵を握ったときLinuxには重心がないと批判したMicrosoftのスティーブ・バルマー氏に対する意趣返し――という少し前に言われたOSDLの別名を引き合いに出して説明した。非営利団体の強味はその中立性にあり、巨大なLinuxベンダーが第2のMicrosoftになるという恐れを緩和できるというのである。

 「オープンソース・コミュニティは協調活動がすべてです。そして、すべての協調活動には、背後で企業が糸を引いているという陰謀説がつきまといます。OSDLの果たすべき大きな役割の1つは、非営利でベンダーに中立的な団体が協調活動をとりまとめて――現場となり――陰謀説の払拭に多少とも役立てるということです。一方、大規模なベンダーはすべてUC BerkeleyまたはAT&TのUnixを採用し自社向けに改造して、大金を失いました。Sunを始めとして、HP、Intel、IBM、 Mentor Graphics、富士通に至るまで、独自に手を加えたすべてのベンダーがオペレーティング・システムを開発して大金を失ったのです。しかし、今Linuxを採用し――かつてBerkeleyやAT&Tから得たように、今はインターネットとオープンソース・コミュニティーから手に入ります――Linuxを共通に保ったまま活用すれば、そこから生まれるハードウェア、ソフトウェア、サービスの恩恵を受けられるでしょう。そして、OSDLのような団体の経費の一部を負担すれば、独自オペレーティング・システムの開発に大金を投入し、結局は捨ててその金を無駄にするのではなく、大いなる発展が待っているのです。ですから、大企業もわたしたちを必要としています」

 さらに、政府機関も、オープンソースの利点をすべて享受するにはOSDLが必要だという。「オープンソース・コミュニティーは開発者の集団です。しかし、政府機関は単にソフトウェアを開発するだけではない団体と取引したいはずです。ビジネスにはさまざまな問題が伴いますから、ビジネス・パートナーとの取引を望むのです。そういうビジネスをしてきたからです。ですから、理由はいろいろですが、EU、中国政府、日本政府、タイ政府、インドのグループにとって、非営利でベンダーに中立的な団体との協力が役に立つのです。彼らはパートナーを求め、オープンソース・コミュニティとの連携を探り、単一のベンダーに依存せずにさまざまなベンダーと協力したいと考えています」

 コーエン氏は、Linuxの将来にはほとんど障害はないと考えている。Linuxベンダーとユーザーに対するSCO訴訟について、コーエン氏はLinuxを広げるにはもってこいの出来事と表現したことがあるが、この訴訟は今や「死に体」だと切り捨てた。

 「この訴訟は死に体だと思います。裁判はもう少し迅速に動いて欲しいとは思いますが、実際的なあらゆる意味ですでに終わっています。IBM、Red Hat、Novell、AutoZone、Daimler-Chrysler、どこにでも聞いてみてください。みんな終わったと思っています」

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