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» 2005年08月12日 09時16分 公開

Red HatとNovellがLinuxWorldで見せた「静」と「動」

今回のLinuxWorld Conference & Expo San Francisco 2005で、Red HatとNovellの2大Linuxディストリビューターの姿勢は大きく異なるものだった。

[西尾泰三,ITmedia]

 今回のLinuxWorld Conference & Expo San Francisco 2005において目玉の1つとされていたNovellの「openSUSE」プロジェクト。同社はこれ以外にも多くの発表を行っているが、とりわけ大きなインパクトを与えたこのプロジェクトについてまとめるとともに、Red Hatの動きも合わせて紹介する。

openSUSEは遅すぎる決断か?

 openSUSEプロジェクトは、Linuxのいっそうの普及のために必要なプロセスの1つとして位置づけられており、SUSE Linuxの開発プロセスをオープン化することでユーザーや開発者の参加を促すのが狙いとなる。また、SUSE Linuxは今後登場するSUSE Linux Enterprise Server(SLES)やNovell Linux Desktop、OpenEnterprise Serverといった製品の基礎となるという意味ではRed HatとFedoraの関係に近い。

 同プロジェクトのサイト「openSUSE.org」も発表同日に立ち上がった。Wikipediaを構築しているソフトウェアと同じく「MediaWiki」を用いてページが構成されており、参加者は自由に内容を書き換えることができる。

Novell 「openSUSEは多くのユーザーの参加が目的」とNovell

 同サイトで現時点で提供されているのは、SUSE Linux 9.3とSUSE Linux 10.0(コードネームPrague)のBeta 1だ(それぞれISOイメージ、ソース)。これまでβ版は非公開だったことを考えると、ユーザーが関与できる場が広がったことになる。なお、SUSE Linux 10.0のほうには、Adobe Acrobat ReaderやMacromedia Flash Player、Sun Java Runtime Environmentなどのプロプライエタリなコンポーネントは含まれておらず、Javaに依存するOpenOffice.orgも含まれていない。

 openSUSEプロジェクトの今後の予定としては、SUSE Linux 10.0 RC1を1カ月後に提供するという。また、サイトとしては、2005年9月にSUSE Support Database(SDB)を編集可能な状態にするとしている。

 Novellとしては、このプロジェクトを通じて開発者が増えることで、結果的にLinuxに接するユーザーの増大につながると信じている。そして、そうなればエンタープライズ領域でもLinuxがより浸透すると見ているようだ。だからこそ、ユーザーへのリーチを広げるため、これまでのパッケージ販売も継続するという。ここがFedoraと明確に異なる部分だ。パッケージ販売については、openSUSEプロジェクトのある期間におけるスナップショットに商用のソフトウェアやサポートを付けたものを製品としてリリースしていくことになる。Novellではパッケージ販売について、「ダウンロード環境が十分に整っていないユーザーや、開発にはタッチしたくないライトユーザーがターゲット」であるとしており、Fedoraが比較的ライトユーザーにとって敷居が高くなっている現状をかんがみたアプローチを取っている。

 当初は開発の上流をNovellが占めることになるが、今後、管理面を含めて極力コミュニティーに委譲していくとしている。その中ではNovellのAutoBuildシステムへのアクセスも許可する予定もあるという。AutoBuildによって多様なアーキテクチャへ容易に対応できるのは開発者にとって魅力的であるため、AutoBuildの早期公開が待たれる。

 と、ここまで書けば誰しもが気づくとおり、openSUSEは基本的にはFedoraに近いものだといえる。では、なぜ「今」なのか? なぜSUSEを買収したときにこの手法を取り入れなかったのかという疑問が残る。これについて同社は、「買収後のさまざまな統合の絡みや基盤の整備のために遅れた」としているが、Red Hatを追い抜こうとしている立場で見ると、これは遅いスタートであると言わざるを得ない。Opensolarisのような開発スタンスを取るのか、それとも実験的な性格の強いFedoraのようになるのか、同社の苦渋の選択は続く。

スタックの幅を拡大

 openSUSE以外のNovellの発表では、Open Enterprise Serverのサービスパック(SP1)の提供のほか、MySQL ABおよびVMwareとの提携関係の強化などが発表された(関連記事参照)。今回の発表に基づき、Novellから「MySQL Network」を直接顧客らに提供することが可能となる。

 提携関係の強化については、以前同社が発表したマルチベンダーを組み合わせたスタック「Validated Configuration Program」(VCP)に関連したものと考えられる(関連記事参照)。同社のVCPではHewlett-Packard(HP)が協力しているが、HPは「Linux Reference Architecture」(LRA)においてすでにJBossやMySQLをスタックに組み入れている。同様にDellもLAMPオープンソースソフトウェアスタックの一部としてMySQL Networkを顧客に再販することを明らかにしているが(関連記事参照)、こうした動きの背景にある考えと基本的には共通のものがある。つまり、市場のニーズに基づいてMySQLが組み込まれたのだ。VCPの初期にJBossがサポートされていたことを考えると、今後何らかの商用アプリケーションサーバもスタックに組み込まれていくのではないだろうか。

 VMwareについては、同社が積極的に取り組んでいるオープンソースの仮想マシンモニタ「Xen」に対する商用のオルタナティブとして関係を強化したものと考えられる。こちらは、新たな技術ソリューションを共同で開発/提供していくほか、NovellからVMwareのテクニカルサポートなどを提供していくという。

 このように、マルチベンダーを組み合わせたスタックの幅を広げることで、OSだけでなくその上で動作するミドルウェアのサポートまで一貫して行おうとする動きがNovellには見られた。

Red Hatの動き

 一方、Red Hatは今回、特別に大きな発表はなく発表もごく控えめなものだった。6月に発表されたFedora Projectを管理するための団体「Fedora Foundation」(関連記事参照)が、順調に設立に向けて動いていることを知らせるもののほか、Red Hat Summit 2006の開催について、そして同社がRed Hatが2003年に買収したSistina Systemsのクラスタファイルシステム「GFS」がGPLの下、Fedora Core 4で正式にサポートされたことがアナウンスされた。

 Fedora Foundationについては当初、8月中に設立される見込みだったが、プロセスに遅れが生じていることが明らかにされた。現時点でNPOの申請も済んでいないことから、設立は9月にずれ込むと見込み。

Red Hat ごく控えめな発表しか行わなかったRed Hat

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