オープンソース界出身のMS幹部は「孤立してはいない」

オープンソースコミュニティーからMicrosoftに入社したビル・ヒフ氏が、Microsoft入りに対するコミュニティーの反応などを語った。(IDG)

» 2005年08月15日 16時22分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Microsoftはオープンソースの荒波の中で戦略を立てるために、オープンソース業界のベテラン、ビル・ヒフ氏を雇った。Microsoftのプラットフォーム技術戦略部門ディレクターを務める同氏は――Microsoftとしては初めて――LinuxWorldで混在環境でのLinux管理についてのテクニカルセッションを行った(8月11日の記事参照)。Network Worldのシニアエディター、ジェニファー・ミアーズが、ヒフ氏にMicrosoftとLinux・オープンソース計画について聞いた。

―― オープンソースコミュニティーで多くの人に「悪の帝国」と思われているMicrosoftで働くことについて、精神的な葛藤はありましたか?

ヒフ ええ。ですが、多くの人はMicrosoftを1万フィート離れたところから眺めており、莫大なお金を稼ぎ、多数のプロプライエタリソフトを売っている会社を見ています。Microsoftは実際は技術企業で、たくさんの技術者を抱え、技術者により指揮されています。1人の技術者として、わたしにとっては働く場として非常に興味深いところです。わたしはIBMを愛しています。素晴らしい会社です。ですが、IBMは営業担当者が引っ張っている販売企業です。技術に対する直感を持つ人間として、Microsoftはわたしにとって完ぺきな場所です。

―― あなたがMicrosoftに移ることについて、オープンソースコミュニティーの仲間の反応は?

ヒフ Slashdotでインタビューを受けたばかりです。その際に電子メールアドレスを渡して、問題があればメールを送ってほしいと言いました。これまでに約1200通のメールを受け取りました。1つ1つに返事を書くつもりです。メールの約99%は、オープンに、正直に話したこと、対話に応じたことへのお礼でした。皆は、オープンソースコミュニティー出身で、オープンソース問題やコミュニティーとのつきあい方を理解している人間がMicrosoftにいるということに元気づけられると言っていました。わたしはずっとオープンソース開発コミュニティーのたくさんの人と時間を過ごしています。もっとうまく協力するために何ができるのかについて、エンジニアリングのレベルでコミュニティーの多数のリーダーと話をしています。そのうち何人が「実際に接触できる相手がいるというのはありがたいことだ。わたしはこの分野で何年も働いてきて、あのMicrosoftと呼ばれる会社の人間を誰も知らなかったのだから」と口にするほど包容力があるかを知ったらびっくりしますよ。

―― レドモンドではどうですか? どんな歓迎を受けましたか?

ヒフ オープンソースコミュニティーの反応よりも、実際はそちらの方が心配でした。コミュニティーの多くの人たちは良き友人です。レドモンドで孤立してしまったら、という不安の方が大きかったです。ですが、わたしが最も驚いたことの1つは、Microsoftの多くの人々、特にエンジニアが本当にオープンソースとオープンソース現象を理解していることです。

―― オープンソースがMicrosoftにとって脅威になると考えている最大の分野を2つか3つ挙げてください。Microsoftがその脅威に対してどう対応しているのかも。

ヒフ 正直に言って、わたしは相互運用性の観点から物事を考えるときに、日和見主義的に考えるのと同じくらい時間をかけて、競争的に考えています。競争ばかりにならないようにしようとしています。われわれはこれまで常にそうしてきたように、商業世界の製品ばかりでなく、オープンソース世界の製品と競争するでしょう。ですが、これらの技術と相互運用性を確保するチャンスも方法もたくさんあります。ここ十数年で見てきた急進的な革新をすべて挙げると、それはオープンソースから生まれたものではありません。オープンソースは何かと言うと、コモディティ化を進める優れたエンジンです。ですから、われわれが競争上の脅威、つまろわれわれの利益の源である技術をコモディティ化している人々に目を向けるとき、それは皆のためになる競争上の脅威なのです。



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