“サーバ統合の錬金術”、NECが新手法「アルケミクス」を開発

NECは、あちこちに分散しているサーバのリソース情報などを収集した上で、最適な形で統合を支援するソリューションを提供する。

» 2005年09月01日 11時18分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 NECはサーバ統合の調査、設計、構築、運用をトータルで支援する「プラットフォーム最適化ソリューション」を強化し、8月31日に提供を開始した。

 強化のポイントは、分散するサーバのリソース情報などを収集して、最適なサーバ構成を提案、コスト削減効果を弾き出す新手法「ALCHEMIX」(アルケミクス)を盛り込んだこと。アルケミクスの適用でサーバ統合計画の策定期間は従来と比較して半分になるという。

藤岡氏 NECのマーケティング推進本部長 藤岡忠昭氏

 NECは2004年8月にプラットフォーム最適化ソリューションを提供開始。NECのマーケティング推進本部長 藤岡忠昭氏によると「サーバ統合の引き合い、受注金額は、2004年度下期から2005年度上期にかけて倍増している」。NECではサーバ統合で運用管理コストを低減し、戦略的IT投資に予算を多く割り当てるソリューションの考えが、顧客のニーズに合致したと分析している。

 プラットフォーム最適化ソリューションはサーバ統合に関して調査、設計、構築、運用の各フェーズを設定している。ALCHEMY(錬金術、秘法)とMIX(混合)を組み合わせた造語であるアルケミクスは、このうちの調査、設計のフェーズを支援する手法だ。具体的にはアルケミクスでは、情報収集ツールと設計支援ツール、コストシミュレーションツールの3種を提供する。

 情報収集ツールは稼動中のサーバから、プロセッサ、メモリ、ストレージなどのリソースの基本情報やソフトウェア構成、OS、パッケージソフトウェアのパッチ適用情報などをネットワーク越しに収集する。設計支援ツールは収集情報を基にサーバ統合の計画を策定する。現在のサーバの使用率から性能の見積もりやサイジング設計を行って、何台のサーバに統合すればいいかをアドバイスする機能がある。

 コストシミュレーションツールは、サーバ統合によってハードウェアやソフトウェア、保守費用などのコストをどれだけ削減できるかをシミュレーションし、割り出す。サーバ統合を実行した初年度だけでなく、次年度以降のコスト削減効果も算出するのが特徴。サーバ統合実施のための投資回収状況も分かる。

 「サーバ統合でコスト削減効果を得て、そのお金をアプリケーションの統合や業務の追加など新たな戦略投資に利用できる。この効果がアルケミクスの名前の由来の1つ」(NEC)

 また、NECはサーバ統合移行の運用管理を最適化するミドルウェア「WebSAM CapacityNavigator」を9月末に出荷開始する。WebSAM CapacityNavigatorは統合したサーバのリソースの動向を監視し、再びサーバ統合が必要になる際のサーバ構成を立案する。

 NECはすでにプラットフォーム最適化ソリューションのベータ版をいくつかの顧客に適用している。200台のWindowsサーバを全国で分散して運用していたある中堅商社のサーバ統合のケースでは、従来の手法では8カ月かかる作業が、プラットフォーム最適化ソリューションを使うことで4カ月に短縮できたという。

 プラットフォーム最適化ソリューションはWindowsサーバ30台のサーバ統合の場合で、250万円から。WebSAM CapacityNavigatorは分析対象サーバが50台までで100万円から。NECはプラットフォーム最適化ソリューションの専任技術、営業部隊も設立し、今後3年間でハードウェア販売、サービスなどを含めて3000億円の販売を目指す。

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