「ミューチップ」通信距離を2倍強に 物流向けラベル開発

日立は「ミューチップ」の通信距離を従来の2倍強となる約70センチに拡大する技術を開発した。八木アンテナの原理を応用してアンテナを組み込んだラベルに貼るだけで済むという。

» 2005年09月13日 21時12分 公開
[ITmedia]

 日立製作所は9月13日、極小の非接触型ICチップ「ミューチップ」をラベルに組み込むことで、通信距離を従来の2倍強となる約70センチに拡大する技術を開発したと発表した。宅配便の送り状に使用し、ベルトコンベアで読み取って自動的に仕分けをするといった用途を想定し、来年3月にも製品化する計画だ。

photo アンテナ形状にノウハウがあり、内部は非公開

 ラベルは紙製の62×76ミリ。内部にアルミ製のアンテナを組み込んだ。アンテナは八木アンテナの原理を応用したもので、指向性を強化することで性能を上げた。電波のエネルギーをアンテナが強めて反射する形になるため、ミューチップとは電気的に接続する必要はなく、チップはラベルにテープで貼り付ければいいという。

 ラベルがない状態のミューチップの通信距離は約30センチ。「愛・地球博」(愛知万博)の入場券やアパレル用の商品タグなどで実績があるが、通信距離の拡大で用途が広がる。宅配便の荷物にラベルを貼っておけば、大きさがさまざまな荷物が混在したベルトコンベア上でも読み取りが可能になるという。

 ミューチップは100万個受注時の単価が10円程度。ラベルも一般のICカード生産ラインで安価に製造できるため、1枚当たりのコストは低くできるとみている。宅配便の市場規模は10億箱以上あるとされ、実証実験を進めた上で売り込んでいく。

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