次世代インターネット技術が支える愛・地球博のクロージングフォーラム

愛・地球博のクロージングイベントの1つとして、会場とオランダのアムステルダム、中国・北京を結んで次世代インターネット技術の実証実験が行われる。

» 2005年09月16日 23時50分 公開
[ITmedia]

 9月25日に閉幕する愛・地球博。そのクロージングイベントの1つとして、会場とオランダのアムステルダム、中国・北京を結んで次世代インターネット技術の実証実験が行われる。

 WIDEプロジェクトは、9月21日に愛・地球博会場で行われる「愛・地球会議クロージングフォーラム」において、名古屋とアムステルダム、北京の3カ所を結び、コラボレーション技術の実証実験を行うことを発表した。

 クロージングフォーラムは、愛・地球博の集大成となるイベントと位置付けられている。日本人学生と海外からの留学生、そして北京やアムステルダムの学生が参加し、「持続可能な社会の創造をめざして」というテーマでパネルセッションを行う予定だ。さらに、ピアニストの小川理子さんなどのミュージシャンを招き、会場とアムステルダムと結んでのジャズセッションも行われる。

 これら一連のコミュニケーションを支えるインフラとして、高速回線と次世代インターネット技術が利用されるという。

 名古屋と北京の間はDVTS/IPv6(30Mbps)で、アムステルダムとの間は10Gbpsの回線を用いて非圧縮HDTV(1.5Gbps)で双方向中継を行う計画だ。一連の実験の模様はさらに、衛星インターネットを用いてアジア各国の大学にマルチキャスト配信されるという。

 日欧間でインターネット経由で非圧縮HDTVを伝送する、いわゆるHDTV over IPを実現するのはこれが初のケースだ。NTT研究所が開発したリアルタイムの高品質画像伝送技術「i-Visto」を用いるほか、日本とアメリカ、カナダ、オランダの国際インターネット運用グループの協力を得て光パス技術を活用することで実現されるという。

 もう1つ用いられている工夫が「インターネット・メトロノーム」だ。

 会場とアムステルダムの間の距離を考えると、どれほど高速に伝送を行ったとしても260ミリ秒程度の遅延は避けられない。しかし、「タイミング」が重要になる音楽ではそのわずかな遅延が問題となるため、インターネット経由でのセッションは困難とされている。

 これに対し今回の実験では「人工的にディレイ(遅延)を作って調整するインターネット・メトロノームを用いることで、演奏者が相手のタイミングを予測してセッションを実現できるようにする」(WIDEプロジェクト代表の村井純氏)という。

 村井氏はまた、今年は、超高速ネットワークを用いた高品質な画像配信が普及に向けた足がかりを築いていく一年であるとの見解を示し、その一端を今回の実験を通じて具現していきたいという意気込みを示した。

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