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» 2005年09月29日 14時00分 公開

オープンソースについて立体的な理解を、Open Source Way 2005の開催迫る

10月6日、7日に開催予定の「Open Source Way 2005」は、オープンソースの技術的ではない側面にスポットを当てる同イベントだ。毎回刺激的なプログラムとなっているが、今回も期待を裏切ることはなさそうだ。

[八田真行,ITmedia]

 OSDN(Open Source Development Network)は10月6日、7日の両日、「Open Source Way 2005」をトスラブ山王にて開催する。Open Source Wayは、日本におけるオープンソース業界のキーパーソンが一堂に会し、オープンソースの技術的ではない側面(経済/経営、法律、文化など)にスポットを当てたカンファレンスとして毎年恒例となってきているが、過去の3回に引き続いて今年もプログラム企画を担当した八田真行氏(GNUプロジェクト、Debianプロジェクト、東京大学大学院)に今年の見どころを聞いた。

ITmedia 今年のOpen Source Way 2005の狙いを教えてください

八田 数年前にこのイベントを始めたときは、「そもそもオープンソースとは何か」という紹介に重点を置いていました。「オープンソース」という概念そのものの知名度が極めて低かったからです。しかし最近では、わたしはオープンソースはもはや目新しい事象ではないと思っておりますので、今回のOpen Source Way 2005の構成にもそのような現状認識が反映されています。「オープンソース」という言葉が特に注釈無しでメディアに使われる機会も増えてきましたし、すでにオープンソース・ソフトウェアによるソリューションが事実上の標準になりつつある分野もあります。VA Linuxのような企業が存在し、成長を続けていること自体がその証拠とも言えるでしょう。

 このようなオープンソース受容の裾野の広がりと深化の一方で、既存のさまざまな制度や慣行との軋轢も、以前より深刻な問題になってきました。ここで強調したいのは、わたしたちも当事者の一人ですので、「制度がだめだ」「慣行がだめだ」と人ごとのように口で言うだけではなく、制度や慣行が実際に良い方向に変わってほしいという思いがあるということです。制度や慣行を具体的に変えていくには、まずはわたしたちが既存の制度や慣行を知り、問題の本質がどこにあるのかを的確に見抜かなければなりません。言い換えれば、わたしたちは「相手の立場」を知る必要があるわけです。わたしたちが、単なるオープンソース賛美ではなく、さまざまな立場の方々をお招きして自由にお話いただくという「両論併記」にこだわってきたのはそれが理由です。今回のOpen Source Way 2005でも、この基本方針は貫けたと自負しています。

ITmedia 具体的な内容を教えてください

八田 今回は初日(10/6)と2日目(10/7)に分かれていますが、基本的には両日通しての聴講でオープンソースの現在について立体的な理解を得ていただけるようにプログラムを構成してあります。

 まず、洋の内外を問わずここのところオープンソースにとって最大の脅威と言えるのがソフトウェア特許の問題です。今年に入り、EUでソフトウェア特許が否定されたのはまだ記憶に新しいでしょう(参考 欧州ソフトウェア特許を巡る狂騒)。元来イノベーションを促進すべく作られた制度が、今やイノベーションを圧迫しつつあるというところにこの問題の厄介さがあります。初日に講演して頂く今野浩・中央大学教授は、早くからソフトウェア特許が内包する問題に着目し、実際に自ら戦ってこられた方ですが、今野先生の議論を踏まえた上で、2日目の経済産業省の紀田馨氏の講演を聞いていただくと、「ソフトウェア特許」という問題が抱える複雑さがよく分かっていただけるのではないかと思います。

 また、これまでもOpen Source Wayでは、GNU GPLを始めとするオープンソースのライセンスについてさまざまな角度から検討を加えて来ました。今回は、著作に「ソフトウェアの著作権・特許権」(日本評論社)があり、SOFTICのオープンソース・ソフトウェアに関する研究でも主導的な立場にあった椙山敬士弁護士をお招きして、オープンソース・ソフトウェアに関する法的な諸問題について原理的な部分を整理していただけることになっています。

 さらに、オープンソース・ソフトウェアの日本における普及について重要な役割を果たし、また今後も果たしていくと思われるのは官庁や自治体です。経済産業省の石塚康志氏には、最近の経済産業省の取り組みと方向性についてご紹介を頂きます。その一方で、公的機関や企業におけるオープンソースの採用はまだまだこなれたものになっておらず、現場レベルではかなりの混乱が見られるという指摘もあります。セキュリティの専門家としてネット上でも声望の高い産総研の高木浩光氏に、そういった一例を挙げて今後改善すべき点を明確にして頂けることになりました。これは大変興味深いセッションになるのではないかと思います。

 ビジネスの世界からはお二人をお招きしています。まず、マイクロソフトの楠正憲氏においで頂けることになったのは幸運でした。マイクロソフトは、オープンソースの「敵役」として捉えられることが多いですが、実のところ、マイクロソフトほどオープンソースを深く理解している企業はありません。むしろ、だからこそマイクロソフトはオープンソースの最強の敵役たりえるのです。今回は、GNU/Linuxにも造詣の深い楠氏に、シェアドソースなどオープンソースに刺激を受けたマイクロソフトの戦略を語っていただきますので、貴重な知見が得られる講演になるでしょう。

 今回お招きしたもうお一方は、日本におけるインターネット文化の普及にいろいろな意味で貢献され、海外との交流も深いネオテニーの伊藤穣一氏です。氏の本業はベンチャーキャピタリストですが、一方で「社会的責任を考えるコンピュータ技術者の会(CPSR)」日本支部の設立にも深く関わり、現在はOpen Source Initiative(OSI)のボードメンバでもあります。老練なビジネスマンとオープンソース・エヴァンジェリストという2つの視点を併せ持つ氏から、新鮮な議論を提示して頂けるものと期待します。

 2日目の最後には、「スーツの本音、ギークの本音」と題してトークセッションを行う予定です。プログラマー(ハッカー)にとって活動しやすい環境を整えることが、企業のパフォーマンスにとっても重要なことなのは言うまでもありません。しかしながら、プログラマー人種と非プログラマー人種の間では、なかなか円滑な意志の疎通が図れないのも現実です。そこで、オープンソースとビジネスの関わりについて強い関心をお持ちであり、また実際に両者の界面でさまざまな活動をされてきた三浦広志氏とg新部裕氏を交え、現在多くの企業が抱える問題とその解決策を探ります。このセッションでは、フロアからのコメントも歓迎します。

 Open Source Way 2005の参加登録はこちらから行える。

 また今回、初日となる10月6日の18:30から「オープンソースマガジン/japan.linux.com 合同オープン編集会議」と題したパーティイベントが開催される。10余年の歴史を持つ「UNIX USER」が「オープンソースマガジン」として装いを新たにすることを祝して催されるもの。OSDNとオープンソースマガジン両媒体の編集者が出席し、参加者と食事などをしながら今後の編集方針をフリートークする予定となっている。

 こちらの参加登録はこちらのページから宴会コードとして「osw2005」を入力し、その先のページで行えるようになっている。Open Source Way 2005の参加登録とは別になっているので注意が必要だ。

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