RealNetworksとの和解が報じられたMicrosoftだが、今度はセキュリティソフトウェアをめぐって独禁法紛争が再燃する可能性が出てきた。
Microsoftがセキュリティソフトウェア市場への参入の動きを見せていることで、独禁法をめぐる懸念が再燃する可能性もある。OS市場での優位をほかのソフトウェア製品で利用することが問題となるからだ。
Microsoftは先週、「Microsoft Client Protection」と呼ばれる企業向けの新製品を発表した。この製品のβ版は年末までにリリースされる予定。また、コンシューマー向けのウイルス/スパイウェア対策製品である「Windows OneCare Live」も準備中であり、こちらも年内にパブリックβリリースが予定されている。
これらの製品は、Microsoftが2年余り前に約束したウイルス対策製品の提供に向けた取り組みの成果となるもの。この取り組みの中で同社は、スパイウェア関連の技術や企業の買収を進めてきた。同社は今年、Sybari Softwareを買収したほか、2003年にはウイルスソフトウェア「Romanian」の開発元であるGeCAD Softwareを買収した。
欧州の独禁法専門家によると、セキュリティソフトウェア市場への進出の動きは、MicrosoftがOS分野での強みを生かし、その優位性を周辺の市場にまで拡張しようという同社の従来の路線を踏襲したものだという。
ロンドンにあるLawrence Grahamの欧州連合競争チームの責任者を務めるアンソニー・ウーリック氏は、「これは、Microsoftの支配の妥当な範囲の限界はどこかという、昔ながらの問題だ」と指摘する。
MicrosoftのWebサイトによると、同社の次世代OS「Windows Vista」には、ウイルス、ワーム、スパイウェアからコンピュータを守るためのセキュリティ機能が搭載される(関連記事)。しかし具体的にどういったセキュリティ機能がVistaに組み込まれるのか、また、これらの機能がどのような形でOSに結び付き、ほかの製品と連携するのかが重要なポイントになりそうだ。
Microsoftのスポークスマン、レベッカ・スミス氏は取材に対して、「OneCareは、Windows XPおよびVistaのアドオンとして年会費方式で販売する予定だ」と電子メールで答えている。
ウーリック氏によると、Microsoftに対する欧州委員会(EC)の昨年の申し立てでは、ある製品が独立したソースから入手可能である場合、「それは独立した市場であることを意味する」という見解が示された。これは、独禁法をめぐる戦いにおいて、セキュリティ機能がOSの一部であるという主張が通らない可能性があることを意味するという。
Symantecは先週、欧州委員会に情報を提供したことを明らかにした。欧州連合競争委員、ニーリー・クロース氏のスポークスマンを務めるジョナサン・トッド氏は10月7日、ECが調査中であるかどうかは、慣例として明らかにできないと語った。
Symantecのジョン・トンプソンCEOは10月6日、ECに資料を提出したことを認めたが、訴訟が起こされるのではないかとの憶測を打ち消そうとした。同氏によると、SymantecはMicrosoftと「相互依存」の関係にあり、ECの調査には関与していないという。
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