結局中堅企業のIT化は顧客満足を追求することだ中堅企業IT化の道(1/5 ページ)

CRMは人や企業によってとらえ方はまちまちであるが、結局は「お客様のことを知り、価値を提供し、結果として売り上げや利益を上げること」である。

» 2005年10月25日 13時22分 公開
[杉山 正二,ITmedia]

  杉山正二(アールエスコンポーネンツ 取締役)

 前回は、ITを活用してデータを分析し、仮説/検証のスピードを上げ、効果の高い施策に資源を集中すべきという話をした。それがIT活用により売り上げや利益を向上させるための近道である。今回は、CRMという視点から、どのようにITを活用すれば顧客との関係を良くすることができるか、効果的な営業活動ができるか、という観点で、具体的な例を挙げながら検討していきたい。

 CRM自体は、人によって、企業によって、とらえ方はまちまちである。CRMシステムを思い浮かべる人もいれば、コンタクトセンターの構築を考える人もいる。

顧客満足の原点に帰る

 私はCRMを「お客様のことを知り、お客様に認めてもらえる(対価を支払ってもらえる)価値を提供し、その価値提供を通じてお客様とのビジネス上の関係を継続的に構築、維持、カイゼンさせ、結果として、売り上げや利益を上げること」ととらえている。

 私は地方の出身であるが、そのころ、近所の商店の店主は、わが家の購入商品や興味を持っているモノをよく覚えていて、新しい商品が入るたびに紹介してくれたり、取り置きしてくれたりもした。プレゼントをもらったり、おまけをもらったりしたこともある。このように、一人一人のお客様のことを理解し、押し付けではない関係を構築していくことが、結局は売り上げアップにつながると考えていたからこそ、その商店はそれを実行していたのだろう。

 こういう話を書くと、「昔だからできたことだ」といわれるかもしれない。しかし、現在でも、東京・町田にある、いわゆる“街の電気屋さん”が同様の、あるいはもっときめの細かいお客様サービスで、安売り量販店に負けないビジネスを展開し、地元のお客様をがっちりとつかんでんでいる。

 その電気屋さんの営業員は、お客様の話し相手になり、聞き役に徹することで、お客様の本当に困っていることを理解し、それに対する最適な提案ができるそうである。これは、いわゆるワンツーワンマーケティングといってもいい。ここからも、CRMがビジネスの基本の1つであることが伺える。

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