結局中堅企業のIT化は顧客満足を追求することだ中堅企業IT化の道(2/5 ページ)

» 2005年10月25日 13時22分 公開
[杉山 正二,ITmedia]

高度成長期との環境の違い

 確かに、需要が満たされていなかった高度成長期には、大量の同一製品を提供するだけでもお客様を獲得することができた。しかし、現在は、生活する上での基本的な需要は満たされ、個人が独自の好みを満たすためにお金を使うようになっており、いわゆるニーズの多様化が顕著に起きている。したがって、ビジネスの原点に戻って、ワンツーワンのお客様対応が求められるようになっているのだ。

 このような状況では、IT活用の巧拙が結果に大きく響いてくる。ITをうまく活用すれば、より多くのお客様に対して、ワンツーワンで、かつ、お客様が望む対応をすることができる。

IT化の「肝」は顧客情報管理に尽きる

 具体的にはどこにITを活用するのか? ずばり、顧客情報の管理である。CRMの観点から言えば、顧客情報の管理が最もIT活用の効果が得られる領域である。アールエスコンポーネンツの例で見てみよう。われわれのビジネスは、基本的にはB2Bであるが、顧客情報は、企業レベルと企業内の個人レベルの2つのレベルで管理している。

 これは、お客様に少しでも早く商品を届けるという理由と、実際に弊社の商品を選んでくださるお客様とのやり取りをきちんと把握しておきたいという理由からである。したがって、弊社の顧客情報は、大別すると、取引関連のデータ(受注、販売、売掛金、取引条件など)、個々のお客様の属性データ(職種、専門技術分野など)、個々のお客様とのやり取りのデータ(問い合わせ、苦情、要望、訪問/電話履歴、販促履歴など)からなる。

 当然、取引関連データと属性データのマスターはERPシステムであるが、毎夜間、最新のデータがCRMシステム(Pivotal)へコピーされ、このデータに紐付く形で、問い合わせなどのやり取りのデータが付加される。

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