「ユーザーの5%が収益源」、スカイプ・テクノロジーズCEO

スカイプ・テクノロジーズのCEO、二クラス・センストローム氏が来日。同社の今後の戦略について語った。

» 2005年11月07日 20時40分 公開
[三木泉,@IT]

 無料音声通話ソフト「Skype」で世界中にブームを巻き起こしているスカイプ・テクノロジーズのCEO、二クラス・センストローム(Niklas Zennstrom)氏は、11月7日に日経BPと共催したプライベートイベント、「Skype Day in Japan 2005」で来日、無償公開しているAPIを武器に、さらに多くのアプリケーションに対し、P2Pコミュニケーションのためのチャンネルとしての役割を広げていきたいと語った。

 同氏は、数々のIP電話ソフトウェアがあるにもかかわらず、Skypeが成功の理由として、「簡単に使える環境を実現するための技術を持っていたこと」を1番に挙げた。「どんなファイアウォールが使われていても、インストールするだけで使える。誰にでも使いやすいということが勝因だ」

 Skypeのもう1つの大きな特徴は、APIを無償で提供していることだ。だれでも自由にSkypeの機能を活用したアプリケーションを開発することができる。SkypeのAPIを呼び出すだけで、一般的なWebのECサイトも、顧客管理アプリケーションも、IP電話対応にすることができる。

 スカイプでは、アプリケーションを開発する各社への支援をさらに強化し、アプリケーション間をピア・ツー・ピアでつなぐための通信経路としての役割を拡大していきたいという。センストローム氏は、音声コンテンツ・サービスが今後新たな市場を形成することに対しても期待を寄せる。

 スカイプの売り上げは今年度で5000万ドル、来年度は2億ドルと予想されている。主要な収益源は、Skypeユーザーから一般電話への発信を可能にする有料ゲートウェイサービスの「SkypeOut」だ。「SkypeOutを使っているのは、全Skypeユーザーの5%に満たない。それでも問題はない。(Skypeの)運用コストが極端に低いからだ」(センストローム氏)

 イーベイによるスカイプの買収が10月に成立した。これについてセンストローム氏は、「イーベイの(送金サービスである)PayPalには8700万人のユーザーがいる。スカイプは今後も独立した存在であり続けるが、このユーザーベースを活用して、世界最大のオンライン・コミュニケーション提供企業を目指す」と話した。

 今後両社の協力によって生まれる可能性のあるサービスとしては、インターネットユーザーがクリックすることで、商店などとSkypeによる通話ができるWebリンクを、広告のような形態で販売することを挙げた。

 Skype Day in Japan 2005のセミナーで講演したライブドアの堀江貴文社長も、PayPalとSkypeの相乗効果に関心を寄せ、「Skypeには、音声だけでなく、ビデオもチャットも、ファイル送受信もできる。あとは決済が載ればエクセレント。たぶん次にSkypeにはPayPalが載るだろうと思う」と話した。

 しかし、自分では電話をほとんど使わないという堀江氏は、同社の展開する無線インターネット・サービスに関連して、「(電話のように)同時に多くの人をつなげられるシステムで全国をカバーしなければならないから、システムにコストがかかり、ユーザーに転嫁しなければならなくなる。どうしても音声をやりたいなら、現在の2Gのインフラで十分。非同期でいいインターネットの技術を使うから低コストにサービスを広げていくことができる」と話した。とはいえ、livedoorポータルにSkypeボタンを配置し、ユーザーからの意見や感想の吸い上げに使う、ユーザー間のコミュニケーションに使える環境を提供していくという形での連携を進めているという。

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