コラム
» 2005年09月15日 16時20分 公開

Skype買収――eBayは一体何を考えているのか?

eBayのSkype買収とOracleのSiebel買収――同日に発表された2大買収にはそれぞれどういう意味があるだろうか?

[David Coursey,eWEEK]
eWEEK

 米eBayがSkypeを買収するというニュースが届いたとき、私は最初当惑したということを認めなければならない。それから何時間か、私は何度も繰り返し、この取引の意味を理解しようと努めた。自分が何か見逃しているのではないかと考えた。ようやく状況を理解できるようになったのは、その日の遅くになってからだった。eBayがSkypeを買収するというニュースの意味が理解できないのは、実際、この取引は意味のないことだからだ。何も意味はない。つまり、無、ゼロなのだ。

 簡潔に言えば、eBayは資金力はあるが判断力のない企業であることを自ら暴露したということだ。eBayが今回のような投資を回収できるとは思えないし、Skypeが提供するような技術は、間違いなく、もっとはるかに少ない額でどこかよそからでも手に入れられたはずだ。

 eBayはSkypeのVoIP技術を自社のショッピング/オークションエンジンに組み込みたいという思いから、Skypeを買収したようだ。あるアナリストは私に、これはeBayにとっては「開発するか、購入するかの選択」だったが、eBayはSkypeを買収することで「購入する」方を選んだと説明した。

 eBayは、オークションの買い手と売り手が口頭で対話できるようにしたいと考えている。VoIPを使って、リアルタイムのライブオークションが実現する可能性もある。あるいは、eBayのストアやオークションとは別に、SkypeがVoIPサービスの提供を続ける可能性もある。

 前述のアナリストは、eBayはSkypeを買収することで、無数の非互換VoIPサービスをサポートする面倒を逃れられたと指摘している。それでも私の気持ちはすっきりしない。eBayはもっとはるかに少ない金額で、別のVoIP会社を買収することだってできたのだから。あるいは、単にSkypeに投資するだけでもよかったし、あるいは、金銭的な取引抜きで、どこかVoIPプロバイダーを1社、パートナーとして選ぶことだってできたはずだ。実際、eBayのVoIPパートナーになるという名誉と引き換えであれば、eBayにお金を支払うことすらいとわない企業だってあるのではないかとさえ私には思える。

 従って、eBayにVoIPを追加するために、Skypeが今回手にする26億から41億ドルものコストを掛けるというのは本来、あり得ない話だ。この動きは次のように説明する以外ない。これほど多くの物品の適正価格の決定に使われているオークションを運営している会社が、実はお金の価値を分かっていないということだ。実際、eBayほど多くの流動資金を持っていれば、意味を成すことなのかもしれない(私には、Googleがその資金でさらにどこを買収するかを想像することしかできない)。

 eBayの現金トラックが到着するまでにも、Skypeが熱心な支持者を確立していたことは私も分かっているが、私は、結局は通信会社がSkypeを買収することになると予想していた。ただし、それも競争が過熱してからのことだろうと考えていた。今のところ、VoIPは勝者と敗者を断言するにはまだあまりに不確かだ。それにもかかわらず、eBayがSkypeを大勝利者とすること、そして、おそらく、この市場から永遠に抜き取ってしまうことは止められなかった。

 SkypeはeBayにとっては損な買い物だ。だが、何しろ、eBayにうなるほどの大金があったのだから、実際のところ、どれほど損な買い物だったのかは私たちには決して分からない。

 一方、OracleがCRM大手のSiebel Systemsを買収するという同日のニュースに関してだが、トム・シーベル氏はラリー・エリソン氏と戦うべく、Oracleを退職し、その後、あり余る資金をバックに短いながらも全盛期を築いた人物だが、同氏は現在、おそらく未だに気分を害されたままのエリソン氏から当然の報いを受けているところだ。また新たに1社、忌まわしきライバルをつぶそうというOracleの勝利の雄たけびが聞こえてくるようだ。

 これで世界は一息つき、皆が「ラリー、あなたは大した人だ!」と叫ぶだろう。そして、ビジネスは進んでいく。これで、ラリーの自尊心がうまく満たされたのであればいいのだが。ラリーの独善性はしばしば、ビジネス上の優れた判断といっしょくたにされてしまっているようだから。

 Oracleにとって、Siebelの買収は良いことだ。特に、Siebelは厄介な戦いを企てなかったからだ。だが、この取引は1年か2年前、つまりPeopleSoftの公開処刑より先に行っておいてもよかったかもしれない。もしSeibelが先に買収されていれば、PeopleSoftは非常に不利な状況に置かれ、Oracleは同社が事実上征服されたも同然と考えていたかもしれない。少なくとも、もっと有利な価格で買収できただろう。

 その代わり、今はOracleが4つの会社(Oracle、PeopleSoft、J.D. Edwards、およびSiebel)の7種類のCRMパッケージをどのようにして、統一された製品としてまとめるかに注目すると楽しいだろう。買収された企業の顧客たちが、かつてOracleを購入するチャンスがありながら、それを拒んだ人たちであることを考えると、そうした顧客を引きとめるためにOracleがどのような行動に出るかを観察するのは楽しみだ。

 また、CRMビジネスの大半を包囲するというOracleの動きは、salesforce.comやSAP、そのほか多くの小規模企業にとっては驚くべきチャンスを意味している。こうした企業は間違いなく、Oracleがもたらした変曲点を懸命に活用しようとするだろう。Oracleがサポートや移行、開発の膨大なタスクに直面していることを思えば、残りの競合他社はこうした状況を喜んでいないSiebelやPeopleSoft、J.D. Edwardsの顧客をうまく取り込むことができるはずだ。そうした顧客たちもひょっとしたら、喜んでくれるのではないだろうか?

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