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» 2005年11月11日 17時00分 公開

次世代ITオフィス環境の理想的な作り方(1/2 ページ)

ITを利用してオフィス環境を改善していくとき、その導入には細心の注意を払うべきだ。では、そのポイントはどこにあるのだろうか。

[下村恭(ハンズシステム),ITmedia]

 ある企業が、TCOの削減や作業効率の向上を目指すとする。こうしたとき、現状を改善する方法やさまざまな問題への解決方法を探るために、新規のテクノロジーやサービスを導入するということはよくあるだろう。

 しかしながら、新しいテクノロジーやサービスは、単に導入すれば問題が解決するというわけではない。場合によってはテクノロジーの導入という行為そのものがトラブルになる可能性もある。どのようなテクノロジーやサービスが自社に一番合うかを検討したり、導入に先立って評価もしなければならない。そして導入時期や期間はどうするのかという問題もある。もちろん、導入にあたってのコストも重要視しなければならない。

 このほかにも、導入を阻害する別の要因がある。

 それは、抵抗勢力と呼ばれる。保守的といえば聞こえは良いが、彼らは新しい仕組みに対して必ず反対を唱える。何らかの変化に対して、従来のやり方にしがみつくタイプの人々のことだ。こうした手合いはどこにでもいる。一部の管理職でよく見受けられるが、現場の人たちからも、従来のやり方を変えたくないと反対の声が上がるというケースもある。

 これら導入時に直面するであろう問題へどう対処できるかは、ITオフィス環境を構築する上で非常に重要と言わなければなるまい。どのような導入のやり方をすれば、こうした問題を回避することができるのだろうか。

ジェトロニクス株式会社での事例

 この問題に立ち向かうための一つの例として、ICT(Information and Communications Technology)ソリューション&サービスのプロバイダーであるジェトロニクスの事例を紹介しよう。

 同社は日本法人の本社を東京に置き、横浜に研究開発センターを、そして技術サービスの拠点を国内各地に展開し、さままさなビジネスソリューションの提供を業務としている。

 ジェトロニクスが抱えていた問題は、各拠点間のネットワーク環境だった。最大1.5Mbpsのフレームリレー網を中心とした構成をとっていたが、通信速度については日常業務に支障を来しており、例えば共有ファイルへのアクセスやメールの送受信が遅いといった問題を抱えていた。

 この問題に対処するため、同社はインターネットVPNを導入した。フレームリレー網を中心としたネットワーク構成を、100MbpsのインターネットVPNに置き換えたことで、ネットワークの高速化と通信コストの削減が実現できたという。

 これだけでは単に回線スピードの問題を改善したにすぎないトピックだが、同社はインターネットVPNというテクノロジーを利用することで、内在するほかの問題も同時に解決した。

 ジェトロニクスは複数の会社が合併した企業であるため、さまざまなシステム環境が入り混じっていた。このため使い勝手の面でも、またTCOの面でも不利だった。同社情報システム部のアニエロ・ダスコリ部長は、この状況を改善するため、「COE、CAE、CSE」というコンセプトを打ち立てたという。

情報システム部のアニエロ・ダスコリ部長

 COEとはCommon Oparating Environment(共通操作環境)の略で、社内では全社員が同じパソコン、同じOSを使うということ。今では、ジェトロニクス全体で共通のパソコンやOS、アプリケーションを使用しているため、ハードベンダーからプリインストールの状態で購入でき、またVPNで接続されたすべての拠点に対してセキュリティパッチを一括して配布できるため、管理が容易になったという。

 もちろん、抵抗もあった。ジェトロニクスは国際的な企業であるため、OSはWindowsの英語版にランゲージパックを適用したものを標準としている。国内の社員からは日本語OSを使いたいという声もあったが、合理的な理由がある開発部隊以外は、すべて英語OS+ランゲージパックに統一した。

 同様にCAEはCommon Application Environment(共通アプリケーション環境)の略で、社内で標準となるアプリケーションを定め、それ以外は原則として使用しないということ。世界各地の支社で統一されていなかったアプリケーションをSAPに統一したことで、グローバルなレポートの作成も可能になったという。

 CSEとはCommon Support Environment(共通サポート環境)の略で、パッチマネジメントやモニタリングなどを共通化することだ。マイクロソフトのSystems Management Serverなどを使って世界中のジェトロニクスのパソコンに対して、一括したパッチの配布が可能となるなど利点が多い。

 これら3つのコンセプトに掲げた内容をインターネットVPNの導入と同時に実現し、同社はITシステムに携わる社員を13人から2人に減らすことに成功した。

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