「小規模サーバでも仮想化を」、日本HPが仮想化製品群を強化

日本HPは、ソフトウェアパーティショニングを実現する「HP Integrity Virtual Machines(VSM)」をはじめとする新製品をリリースし、仮想化技を強化した。

» 2005年11月29日 13時07分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 日本ヒューレット・パッカード(HP)は11月29日、同社の仮想化技術「HP Virtual Server Environment(VSE)」を強化し、ソフトウェアパーティショニングを実現する「HP Integrity Virtual Machines(VSM)」をはじめとする新製品を発表した。併せてIT統合やHP-UXへの移行を支援するサービスを強化し、500名超の体制で提供していく。

 一連の施策は、メインフレームやRISCサーバなどのレガシーシステムからオープンシステムへの移行、さらには同社のハイエンドサーバ「Superdome」上への統合を促進させることを目的としたものだ。

 「顧客のさまざまな環境、事情を考えると、一気にHP Superdome上にシステムを統合させるのは困難。新たに発表した製品やサービスを通じて、ステップバイステップでスムーズな移行を可能にしていく」(日本HPエンタープライズストレージ・サーバ統括本部、ビジネスクリティカルサーバ製品本部長の榎本敏之氏)。

 小規模なIT統合や新旧システム/異なるプラットフォームの混在を可能にすることで、IT統合を柔軟に実現していくという。

Solarisからの移行、統合も支援

 新製品の中でも中核となるHP VSMは、1つのCPUのリソースをHP-UXやWindows、Linuxといった複数のOSで共有できるようにするソフトウェアパーティショニングツールだ。最大で20の仮想OS環境を作成でき、負荷に応じて5%単位でCPUリソースを再配分することができる。I/Oの共有も可能なため、ホストが少ないI/Oしか備えていない場合でも、それを効率的に使いまわすことができるという。

 「nParsのようなハードウェアベースのパーティショニングテクノロジーはミッドレンジ以上のサーバには適しているが、小規模サーバでは活用しにくいという声があった」(同社、OEプロダクトマーケティング部長の栄谷政己氏)。

 これに対しHP VSMでは「エントリクラスのサーバ上でも3つのOSが動作できる」(同氏)。nParsやvParsといった既存のパーティショニング技術とHP VSMとは、用途によって使い分けることが可能という。価格は31万5000円で、2005年末より出荷が開始される予定だ。

 また「システムを仮想化するととても便利になるが、同時に管理が複雑にもなる」(栄谷氏)ことから、新たに2種類の管理ツールを提供する。

 1つは、仮想化された環境で利用率や負荷状況をビジュアルに表示する「HP Integrity Essentials Virtualization Manager」で、構成作業も支援する。価格は21万円。

 もう1つは、システムを仮想化した場合にどの程度のリソースが必要になるか、また負荷状況はどうかを予測してサイジングや以降計画を支援する「HP Integrity Essentials Capacity Advisor」だ。価格はVirtualization Managerを含んで36万9600円で、2006年1月より出荷される。

 日本HPはさらに、「ITコンソリデーション基本構想策定サービス」も提供する。IT統合に取り組む際に浮上する「何を対象に、どう進めればいのかが分からない」「投資対効果が把握できない」といった課題や悩みに応えるためのサービスで、現状のシステム環境や目的を踏まえた上で、IT統合に向けた移行計画や施策などを策定するという。

 また、特にSolarisからの移行を計画している顧客向けに、移行支援ツール「SHPK(Solaris to HP-UX Porting Kit)」のサポートやHP-UXへのアプリケーションポーティングをサポートする「HP-UXプログラム開発・ポーティング支援Expressサービス」も提供する。

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