中堅企業がITでもうけるためには?「次世代」の中堅企業はITで利益を出す(1/3 ページ)

最終回はオンラインムックのタイトルでもある、「次世代」の中堅企業がITで利益を出すための仕組みをひもといていく。

» 2005年11月30日 09時54分 公開
[伊嶋 謙二,ITmedia]

  伊嶋 謙二(ノーク・リサーチ代表)

 最終回はオンラインムックのタイトルでもある、「次世代」の中堅企業がITで利益を出すための仕組みをひもといていく。そのためには、ERP導入プロセスにおける経営者やシステムベンダーの課題を克服しなくてはならない。そして、ERP導入後、段階的にSCMやCRMが導入されることによって、本当の意味で経営戦略に役立つIT環境が整うのだ。

ERP導入でこそ社長が存在を示すべき

 第5回で紹介したノーク・リサーチの「ERPの利用実態調査」では、ERPを導入した企業の大半は経営者である「社長」が、単に最終的な導入決定の判を押すだけの存在となっていることが明らかになっている。その割合は実に54.5%にも上る。

 自社の抱える問題を現場部門とのコミュニケーションで的確に把握し、解決策を考案するのが最高意思決定者である社長の役目であるということは、前回も指摘した。つまり、導入に至るまでのプロセスにしっかり絡むことが、いわゆる「肝」となる。

 グラフでいえば、「パッケージの選定」「システムベンダーの選定」において、社長が意思決定する比率を高めなければいけない。「IT部門の責任者」に任せっきりでは、企業戦略的なIT実現は程遠い。「IT部門の責任者」はあくまでも、自社のシステムに対して責任を負うのが職務であり、鳥観図的視野を持って全社的な最適化を行うのは社長の役目なのだ。従って、社長は導入プロセスに絡むことで、自社に適合したERP選びを実践していかなければならない。

 ERP導入が自社の業務プロセスに与える影響は大きい。オフコンや汎用機といった旧システムに使い慣れたIT部門が、現場部門の声を正確にくみ取らないで、導入後に部門間でひともんちゃくがあっては困る。ましてや、取引先にまでそれが波及するようなことは絶対に避けなければならない。(図1)

図1
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