オープンソース化されたSolaris――コミュニティー、派生ディストリビューション(1/3 ページ)

OpenSolarisのコミュニティーが形成され、今、Sunが待ち望んでいたコミュニティーが活動を始めた。opensolaris.orgの基本的な枠組みと実践はオープンソースコミュニティーの未来形を表しているのかもしれない。

» 2005年12月12日 10時17分 公開
[Stephen-Feller,japan.linux.com]

 Solarisのソースコードをリリースしたとき、Sun Microsystemsは人々が手に取り動かしてみるだろうことは確信していた。しかし、期待したものは、その先にある。OpenSolarisコードのコミュニティーが形成され、25年以上にわたってSunが開発を続けてきたSolarisが新たな段階へと発展することこそが目標だったのである。今、Sunが待ち望んでいたコミュニティーが活動を始めた。

 OpenSolarisコミュニティーは、6月の創設以来、少なくとも3つの派生ディストリビューション――SchilliXBeleniXNexenta――を生み出した。それだけではない。ほかのオペレーティングシステム向けの活動もしており、DTraceFreeBSDに移植中である。

 OpenSolarisマーケティングチームのディレクター、クレール・ジオルダノ氏によると、OpenSolarisコミュニティーWebサイトの登録者はおよそ1万人、設立されたOpenSolarisユーザーグループは世界に24以上あるという。

 「開発者たちがOpenSolarisプラットフォームで活発に活動していることに、わたしたちは大変満足しています。OpenSolaris技術をコミュニティーに解放したのは、コミュニティーのメンバーがそれを自身の製品やプロジェクトに活用し、革新のためのプラットフォームが生まれ……、OpenSolaris技術を中核とした一つの大きなネットワークに成長してほしいと考えたからです」

 Solaris自体は無償でダウンロードし試用することができたが、ソースコードは公開していなかった。ジオルダノ氏の説明によると、コードを求める顧客が増えてきたこともあり、Solarisのコードをリリースし、その技術をオープンソースコミュニティー開発モデルに移せば両者にとって得るものが大きいと考えたのだという。

 しかし、OpenSolarisの一部は、今もオープンソースではない。インド、バンガロールのSunに勤務しBeleniXの開発リーダーであるモイナック・ゴーシュ氏は、6月にBangalore OpenSolarisユーザーグループに投稿し、OpenSolarisはまだ完結していないと述べている。一部のコンポーネントのソースが開示されていないため、ゴーシュ氏が言うところの「完全にブート可能なOpenSolaris環境」にはならないというのである。

 Sunが発表しているロードマップでは、すべてのコンポーネントがオープンソースライセンスでリリースされるのは、早くても2006年7月以降である。

 OpenSolarisは顧客からのコード開示の求めに応えるばかりでなく、教育面での効果もある。ジオルダノ氏によれば、コードのリリースによって米国中の大学の情報科学課程でSolarisが広く使われるようになることを期待しているが、実用的かつ短期的な教育効果も期待される。それはSunのオペレーティングシステム担当者に対するもので、その兆候はすでにあるという。

 その現場はメッセージボードとメーリングリストだ。「opensolaris.orgでのコミュニケーションが刺激になっているのです。コミュニティーのメンバーは提供したソースがOpenSolarisソースベースに組み込まれるという形で目に見える貢献をしています。しかし、社章を付けているOpenSolarisコミュニティーメンバーは、社章を付けていないメンバーと直接的なコミュニケーションを通じてそれ以上に大きな利益を得ているのです」

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