AMDによると、来年出荷するチップに「TPM(Trusted Platform Module)1.2」規格のサポートを組み込む予定であり、Windowsマシンのセキュリティの強化以外にもPresidioの利用分野があるという。
事実、AMDでは、Open Trusted Computingグループと共同で、各種Linuxディストリビューション用の「トラステッドコンピューティング」(信頼できるコンピューティング)の規格の策定作業を進めている。同社によると、TPMを組み込んだサーバは2007年までに出荷される見込みだという。
一方、VMware、Xenプロジェクトそして(将来的には)Microsoftの仮想化ソフトウェアによって実行されるタスクの一部を肩代わりするというPacifica技術には、将来的にI/O仮想化機能も追加される予定だという。
AMDはすでにPacificaプロジェクトを開始しているが、製品化の時期は明らかにされていない。
AMDのPresidioおよびPacifica構想は、ライバルのIntelが推進している「 Intel Virtualization Technology」および「LaGrande」セキュリティ構想と似ている。
カリフォルニア州サンタクララを本拠とするIntelは、仮想化技術を搭載したデスクトップ用Pentiumプロセッサの出荷をすでに開始しているが、同社によると、システムメーカーでの採用が本格化するのは、来年1〜3月期に「Presler」チップ(デュアルコアPentium Dプロセッサの改良版)をリリースした後になる見込みだという。来年には、サーバ用チップにも仮想化技術が組み込まれる予定だ。
LaGrandeのセキュリティ機能も来年、Intelプロセッサに搭載される予定だ。
一方、IntelのCommunications Technology Labは、「System Integrity Services」と呼ばれるプロジェクトを通じて、巧妙なマルウェア攻撃を検出するハードウェアエンジンを開発した。この機能は、OSおよび重要なアプリケーションとコンピュータ内のハードウェアとの連携動作を監視することによって実現される。
このエンジンはいずれ、製品に組み込まれる予定だが、Intelではその時期を明らかにしていない。
このエンジンはコンピュータのメインメモリを監視することにより、アプリケーションがメモリに読み込んだデータとアプリケーションそれ自体との間のリンクを切断する攻撃によってハッカーがシステムを支配したときに、これを検出することができる。
この種の攻撃は、システムを欺いて検出を避ける一方で、データを密かに盗み出したり、ほかの攻撃の準備を行ったりするために利用される可能性がある。
テキサスA&M大学の数学科のシニアアナリスト、スティーブ・ジョンソン氏によると、セキュリティと仮想化機能をチップに組み込むのは理にかなっているという。ただし、詳細がはっきりするまでは最終的な判断は控えたいとしている。
「IntelにしてもAMDにしても、それぞれのアイデアを明確にしていないように思う。両社は何をやろうとしているのか具体的に示していないが、彼らのプランを聞くのを楽しみにしている」
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