ファイルサーバから営業秘密が漏えいしてないか?コンプライアンスに耐える情報システムとは?:(2/3 ページ)

» 2005年12月21日 10時17分 公開
[佐藤隆,ITmedia]

コンプライアンスの適用状況をチェックする

 そこで、まずは秘密情報の管理状況を把握することから始める必要がある。チェックポイントを挙げながら、確認していこう。

チェックポイント1:秘密表示があるか?

 企業には、その情報が機密であることを示すために「秘密表示」というものがある。「秘」「極秘」「社内限定」「XX部門内」といった表示がそれに当たる。該当する情報にこれら表示がなければ、利用者はその情報が秘密であることを識別できない。これらの秘密表示は、本来は企業が定めたルールに基づいて付けられる。一般には、文書管理要領、電子文書管理規定などで定められているので、社内規定から確認できる。

インク・コムの場合:○

 同社には社内規定(文書管理規定)があり、電子媒体であっても秘密とする書類には「秘密」として管理することが明記され、実際にも運用されていた。

チェックポイント2:秘密情報の適切な管理がなされているか?

 秘密表示があっても、施錠されない保管場所に置かれていれば、それは秘密管理とはいえない。しかし、デジタル情報の場合は、紙の文書に比べて少し複雑になる。社内のファイルサーバが情報システム部門の人間以外は入室できないサーバルームに置かれていたとしても、社員の誰もが社内LAN経由でアクセスできる共有領域に置かれていれば、実質的には机の上に置かれた状態になっているのと同じだ。これでは適切な秘密管理ということはできない。

インク・コムの場合:×(対処する必要あり)

 同社では、ファイルサーバに部門単位でアクセス権を設定していた。そのため、同じ部門内の人間であれば、アクセスできる状態にあった。情報システム部門による対応が必要だ。

チェックポイント3:業務に関係ない情報が置かれていないか?

 業務に無関係な情報と一緒に秘密情報が置かれていると、施錠された保管庫に置かれ、秘密表示がなされていたとしても、秘密管理されていると判断するのは難しい。目視できる紙媒体であれば、このような点を確認することは容易だが、デジタル情報の場合はそれを確認することが難しい。

インク・コムの場合:○

 紙およびデジタル情報について調査したが、業務に関係ない情報は確認できなかった。

チェックポイント4:公開情報を秘密情報としていないか?

 一般的な営業活動として使用される会社案内、求人に関する社員の採用情報、株主向けに作成された決算発表後の決算報告書などは、公開情報に当たる。

インク・コムの場合:○

公開された情報を秘密として取り扱ってはいなかった。

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