「2007年」のインパクトは2000年問題よりはるかに大きい――SAP玉木氏構造改革としての2007年問題(3/3 ページ)

» 2006年01月03日 09時45分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

iPodの成功が象徴するもの

ITmedia 2007年問題の影響は徐々に出てくるものだと考えたときに、2010年の情報システムはどのようになっているでしょうか。

玉木 2010年は、何よりも企業における情報システム部の位置付けが今とは変わっていると考えられます。旧来の情報システム部は、極論すれば、ビジネスの現場のユーザーが必要とするものを構築し、それを「おもり」するような役割でした。しかし、仕組み中心型の時代の流れの中で、役割は変化せざるを得ないでしょう。

 象徴的な出来事は、iPodの成功です。それ以前の携帯音楽端末は、「こんなに小さな端末に音楽を収められる」というユーザーの驚きを基本にしていました。しかし、iPodがもたらした驚きは、「音楽の体験というものをシームレスに実現できる」ということにあります。Webから音楽を買い、それを自由に端末に蓄積し、聞いたり、管理したりすることができるという点です。

 特筆すべきことは、iPodに使われているのはすべて「枯れた」技術だということです。すべて汎用的な技術を使っていながら、人々がイノベーションを強く感じていることの意味は大きい。つまり、流れが、技術中心から仕組み中心へと移ったのです。

 CDやDVDなどは、従来のような物販ビジネスのままでは厳しいのが現状です。現在の音楽産業は成長率が鈍い斜陽ビジネスになっています。それにもかかわらず、iPodのビジネスは、構築した仕組みがイノベーションとして受け入れられ、信じられない速度で成長しています。iPodの成功をどう読むかは、今の日本企業にとって重要なことかもしれません。

 同じことがハイテク業界にも言えます。DVDが実際にそうでしたが、プラズマテレビでも液晶テレビでも、陳腐化は早く、すぐに真似されてしまい、コスト競争になってしまうでしょう。しかし、こうした商品をベースに、だれも考えつかないような仕組みを作り上げれば、全く違う展開になる可能性もあります。

 ポイントは、そうした仕組みを管理するものは何か、ということにあります。そして、それは間違いなくITなのです。したがって、情報システムは、バックオフィスという位置付けではなく、極めて競争戦略の根幹に近づいていくことになります。これは間違いのないことでしょう。その流れに気付いた企業が、情報システムの位置付けを変えて、成功に近づいていくのです。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ