SAPは2010年の目標に向けたロードマップを披露した。
SAPが今後取り組みを強化する分野の1つが、かつては同社が重視していなかったとされるパートナーネットワークだ。
SAPはこれまでに、NetWeaver関連で1000社のパートナー、6万デベロッパー、500社のチャネルパートナーを認定した。同社は2006年以降、この分野での投資を増やす方針だ。
技術分野の展開としては、SAPは2006年、エンタープライズサービスを格納する一元的リポジトリを発表する予定だ。
カガーマン氏によると、この戦略は特に重要だとしている。このリポジトリは、企業が連携したり、ソフトウェアを構成したりするための新たなレベルの抽象化を実現するからだという。
さらに同社は、昨年発表した製品の最初のバージョンをリリースする計画だ。その1つが、Microsoftとの共同プロジェクトとして開発している「Mendocino」である。これは、SAPのプロセス機能をMicrosoft Officeアプリケーションにリンクする技術である。
分析用製品の「SAP xApps」のほか、「SAP for Personal Productivity」という製品もリリースする計画だ。
また、同社が数カ月前から製品戦略の1つとして示唆してきたオンデマンドCRM(カスタマーリレーションシップ管理)の計画についても、来月に発表を行う予定だという。
来年以降に関しては、SAPはやや漠然とした戦略も推進する考えのようだ。
SAPでは、ビジネスユーザー向けの機能を多数提供することに注力する方針だ。2010年までに、この分野が売上総額の50%にまで成長するものと同社は期待している。
さらに同社は、人材確保(2005年の新規雇用は目標の3000人を1000人下回った)、製品確保、パートナーとの共同開発などにも投資する予定だとしている。
カガーマン氏は、さらなる買収もあり得ないわけではないとしながらも、買収があるとしても、同社が昨年、小売業分野で進めた買収戦略に沿ったものになるという。すなわち、大規模な買収はないということだ。
「この2年間、当社の製品戦略は非常に透明性が高かった。これからの2年間も、この戦略を継続するつもりだ」とカガーマン氏は語る。
「われわれのロードマップは、今後何年にもわたって競合企業に対するリードを当社にもたらすだろう。当社の経営指針もこの長期戦略に沿ったものだ」(同氏)
しかし、SAPの将来の成功を占う際に考慮すべき要因はほかにもある。
SAPにとって、今年はとりわけ重要な年である。2010年に向けた同社の野望を支える最初の製品群が投入されるからである。
「リスクがあるとすれば、戦略遂行時点でそれが明らかになるだろう。これは長期的視野に立った戦略だ。つまずきたくはないが、だれもつまずこうと思ってつまずくわけではない」(カガーマン氏)
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